ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

2016-01-01から1年間の記事一覧

レーガン登場時と全く異なる経済環境に注意

トランプ次期米大統領が減税やインフラ投資の積極化を唱えていることなどから、一部にレーガン元大統領との類似を言う人がいますので、少しコメントしておきます。 まず指摘したいことは、レーガン元大統領が登場したときと現在では経済環境が全く異なること…

今週の金融市場の見方

トランプ氏の大統領選勝利が決定した直後にまずはドル高是正の誘導を予想しましたが、これまでのところ全く逆になってしまっていまいました。個人資産的には日銀の強力な金融緩和を踏まえたポジション(株ロング、円ショート[ドル以外の通貨に対して])をキ…

トランプ政権の政策と金融市場の予想

トランプ政権の政策を予想してみました。 選挙期間中の言動の”趣旨”を読み取ると、新政権の政策は、アメリカの中産階級の労働者に富と活力を取り戻すのが基本だと思います。 その実現策として以下が考えられます。 ・まずは為替(ドル高)の是正。 2015年初…

トランプ次期米大統領と日米同盟について

大方の予想を反して、となっているようですが、最近の報道にはあきらかにおかしなバイアスがかかっていましたから、むしろ予想通りトランプが次期大統領に決まったという感じです。 そして、予想どおり為替はほとんど動きませんでした。今日の動きが大きな変…

長期悲観の上昇相場を踊る

現在の日銀の金融政策、特にオーバーシュート型コミットメントと長期金利の低位誘導は人類史上最強と書きました。 現在はデフレですので、物価に下押し圧力がかかっています。 そして、その下押し圧力は履歴効果(記憶効果)がありますので、経済が回復に転…

人類史上最強の金融政策で”短期楽観””長期悲観”

ドル円相場も株価も9月末から徐々に下値を切り上げてきています。 これは、10/11に指摘したように9月の金融政策変更が強力な金融緩和であったことを考えると理論通りです。 どちらかというと新聞紙上などでエコノミストに酷評されている9月の金融政策がどう…

長期金利低迷と生保経営について考える

長期金利がマイナスになってから、生保などの機関投資家から運用ができないので長期金利を上げるべきだとの議論がだされています。 しかし、預金金利をゼロ以下にできない(しにくい)銀行とは事情が異なり、生保が低水準(マイナス)の長期金利に不満を表明…

賃上げを景気回復の手段とする考えは全くの誤り

仕掛け人は誰だか知りませんが、賃上げが景気回復の有効な手段との考え方が広まりつつあるようです。 9/30の経済財政諮問会議で安倍首相が「経済界全体に賃上げの動きが広がり、デフレ脱却につながることを期待する」と発言したことが報道されています。 ま…

デフレは続いている

現在がデフレ状態かどうかという議論があります。 先月末の新聞記事で、「安倍晋三首相は28日午前、参院本会議でアベノミクスが行き詰まっているのではないかとの指摘を受けたのに対し『経済の好循環は回り始めており、デフレではない状況を作り出すことがで…

9/21の金融政策変更は第二のバズーカー

9/21(水)に日本銀行は金融政策を変更し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表しました。 ほとんどの人は、目先の効果はこれまとあまり変わらないということしか見ていませんが、少し深く考えるととんでもない政策であることが分かります。 (日…

日銀「総括的検証」にみる経済分析能力の不足と物価上昇しない真の原因

先月9/21(水)に日本銀行は金融緩和の「総括的検証」を発表しました。 この中で、インフレ率2%が実現していないのは、以下の要因によって実際の物価上昇率が低下したことが原因と説明しています。 ①2014年夏以降の原油価格の下落と消費税率の引き上げ後の…

金融政策の総括に向けての議論について思うこと

9月に入って忙しかったのでちょっと時間が空いてしまいましたが、日銀の総括が出る前に簡単にコメントしておこうと思います。 まず、新聞等のコメントを見ていて驚くのは、あまりにも稚拙なものが多いということです。 金融を緩和すれば経済が活性化する。…

マイナス金利政策への銀行の反応を考える

少し前になりますが、日銀のマイナス金利政策へ一部の銀行が明確に反対を表明し、国債引受のプライマリー・ディーラーの資格を返上するということも起きました。 日銀の政策の検証が出る前にこの件についてコメントしておこうと思います。 日銀のマイナス金…

日銀のこだわりと担保不足

昨日の話の続きです。 CPの話をする前に指摘しておきたいことがもう一つありました。 それは、1990年代後半の日銀は、①資金供給は金融機関(または国)に対してのみ行うこと、②民間の金融機関へ資金供給する際には必ず担保をとること、②担保として金融機関の…

1990年代後半の金融システム不安を振り返る

先日書いたCPオペの話の続きです。 今回は、CPオペを積極活用せざるをえなくなった背景について説明したいと思います。 ポイントとしては2点あります。 1つ目は1990年代初めのバブル崩壊後、日本の金融機関が多額の不良債権を抱えて信用に問題があるとみな…

政策に限界はない

最近の、金融政策が限界とか、日銀には打つ手が限られているとかいう話をよく聞きますが、政策の限界という関連で久しぶりに、1998年のCPオペのことを思い出しました。 振り返ってみるともう20年近く前のことなので覚えている人も少ないと思いますが、当時は…

投資教育への大きな誤解

8/24の大機小機で「日本株が上がらない理由」というコラムが掲載されています。 このコラムの中に、 ・長期的に株価上昇を続けている企業がある。 ・そのような(利益率の高い)企業へ投資すれば成果を得られる ・(従って)投資家が徹するべきは企業を選ぶ…

追加の金融緩和余地はまだまだある

日銀の金融緩和に限界説が唱えられています。その根拠に日銀の保有する国債が、全体の発行残高のかなりの割合(3分の1超)に達していてこれ以上増やせないというのがあります。 ちょっと前になりますが、日本経済新聞が2016年6月18日付で『国債保有、日銀が3…

効果的な金融緩和策

最近日銀の金融緩和策が限られているかの話が多くなっています。 何度も繰り返しているように、そんなわけ(金融緩和手段がないわけ)はありませんが、ここでひとつだけ私のお気に入りの案を挙げておきます。 (2000年代初めのデフレ期に金融機関の調査部で…

金の価値と貨幣改鋳から見えてくること

先日、綱吉時代の勘定奉行、萩原重秀が『貨幣は国家が造る。がれきでもかまわない』と言ったのは正しいかったと書きましたが、その際にひとつ書き忘れたことがありました。 それは、金自体が単なる石の一種で、化学的に考えればがれきと大差ないということで…

終戦時のインフレについて考える

今回は終戦時のインフレについて考えたいと思います。 何度か書いているように、終戦時に急激なインフレが繰り返し起こっています。特に敗戦時にはインフレ率が高くなります。 この終戦時のインフレを理解するためには、戦争中からの連続で考えることが必要…

日経新聞の連載『日本国債』について

先週、日本経済新聞で『日本国債』という連載をやっており8月14日(日)は「敗戦後、失われた預金」「財政・金融 一体化に警鐘」という題でした。 http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040009_T10C16A8MM8000/ 内容は以下のとおりです。 1)(第二次世界…

マイナス金利も量的緩和も国民の努力の支えという裏付けがある

8/8(月)の日本経済新聞1面の日本国債に関する特集記事「政府と日銀 危うい蜜月」の中で「日銀がつくり出したマイナス金利は『まるで打ち出の小づち』」とのあるエコノミストのコメントが載っています。 このエコノミストは典型的な御用エコノミストで、言…

賃金引上げを促す政策は消費の減少を促す政策

8月2日にIMFが日本の経済政策に関する報告を公表し、アベノミクスの改善点として、企業に対して賃金の引き上げを促すような政策の導入などを求めました。 また、アベノミクスがうまくいっていないことを主張する流れで、企業が利益を溜め込みすぎて実質賃…

物価と賃金の問題について考える

先週(7/26)の日経新聞の「経済教室」欄で、「物価はなぜ上がらないのか」というお題で日銀関係者のH氏が論文を書いています。H氏は、一般にはあまり知られていないと思いますが、金融業界のエコノミスト村ではかなり有名な方で、私は1990年代~2010年頃に…

ハイパーインフレについて考える

過去の記事を読んだ方は分かると思いますが、このブログは、アベノミクスの失敗は財政金融政策による景気刺激が足りないためとの立場をとっています。 圧倒的多数派の主張は、私とは逆に、これ以上の刺激は副作用が大きくなりすぎてできないというものです。…

中央銀行の独立性の意味

最古の中央銀行は1668年に設立されたスウェーデンのリスクバンクとされています。しかし、1694年に設立されたイングランド銀行が、当時の経済・金融の中心であったイギリスで中央銀行を形作ったといえるので、イングランド銀行の歴史を調べてみました。 イン…

ヘリマネはどうしていけないか?

ヘリコプター・マネーが話題になっていますが、ヘリマネはどうしていけないかを考えてみます。 (結論は、ヘリマネは『いけないもの』というほど特殊なものではなく、これを特殊なものと主張する人の思考が問題ということです。) 日銀の黒田総裁はヘリコプ…

今後の相場のポイントは政策転換の有無だが、、、

しばらく忙しくてブログの更新ができなかったので、最近の相場について簡単にコメントしておきます。 英国の国民投票でEUからの離脱が勝利して急落したのち、大きく戻していますが、単なる買戻しの範疇だと思います。 (7/2の本ブログで指摘したように、)も…

為替レートに関する誤った考え方

また大機小機ネタです。 7/21(木)の大機小機で隅田川氏が『望ましいのは円安ではない』という日銀理論を書いています。 昔うわさで、隅田川氏は日銀関係のS氏と聞いたことを思い出しましたが、未だにバリバリの日銀理論信奉者がいるのにはびっくりです。 …