金融政策の総括に向けての議論について思うこと
9月に入って忙しかったのでちょっと時間が空いてしまいましたが、日銀の総括が出る前に簡単にコメントしておこうと思います。
まず、新聞等のコメントを見ていて驚くのは、あまりにも稚拙なものが多いということです。
金融を緩和すれば経済が活性化する。経済が活性化すれば物価は上がりやすくなる。
これは1+1=2レベルの話で、これを疑っていてはどんな話が進まないが、このレベルの話が多い。
あまりにもくだらないのでスクラップに残していないため日付は分かりませんが、先日の日経新聞に「金融緩和がデフレを促している」という記事がありました。内容は、ただでさえ空室率が高いのにマイナス金利で貸家投資がすごく増えていて、アパートの需給悪化から賃貸料が下がっている(デフレ)というもの。
たしかに賃貸アパートが増えれば賃貸料は下がるけど、その前に住宅投資が盛り上がっていて、投資が物価押し上げに寄与しているというのを無視している。
マイナス金利が銀行の収益にマイナスだから銀行は金融緩和に反対しています。
確かに預金はマイナスにできないから利ざやをとりにくくなるけど、1990年代末から2000年代初めにかけてデフレで銀行がバタバタ倒れた(公的管理でかろうじて生きながらえたものを含めれば、ほとんどの銀行が実質破綻した)ことを忘れてしまったのでしょうか。
金融緩和で企業活動が活発になれば金融機関にとってははるかにメリットがあります。ゆで蛙のように少しずつ沈んでいく経済環境で利益を計上するより、マイナス金利で企業活動が拡大していけば、近いうち企業は積極的に借り入れをするようになるし、そのときにはマイナス金利は解消されるから、マイナス金利で多少の不利益はあったとしても金融緩和で経済活動が活発になったほうが絶対に良い。
資金需要がなくて需給バランスが供給過多になればマイナス金利でも何でも金利(お金の値段)を下げて需要をを喚起するのが自然な考え方。長期金利が上がれば、先高感から投資が喚起されるとか、もう頭がおかしいとしか思えない。
新聞の分析記事の大半は、1)政府(または日銀)、2)権威ある学者、3)有名な金融機関(特に外資系)のエコノミストであり、トンデモ記事が氾濫するということは、政府・(権威ある)学者の知的レベルが致命的に下がっていることが原因だと思う。
※学者の前に「(権威ある)」が入っていることがポイントです。
そんな政府や政策委員の総括に多くは期待できないというのが、最近の株式市場停滞の主因でしょう。