原油の減産に関する報道と原油市況のギャップにみる報道の忖度
米国トランプ大統領の呼びかけもあって、サウジアラビア、ロシア、米国が中心となってOPECプラスが協調減産で合意した。
先日の日本経済新聞の見出しは『原油の「価格戦争」に幕 主要産油国が異例の協調減産」としている。
「戦争」「異例」という言葉を用いて、ものすごい合意ができたかのように伝えている。
しかし、そのようなすごい合意にも関わらず、原油市況はむしろ低迷している。
それも当然で、コロナによる影響もあって日量2,000万バレルの供給過剰といわれているのに、減産規模は日量970万バレルに過ぎない。
世界生産の1割に相当するとのことだが、価格政策として減産するのに供給過剰量の半分しか減産しないのであれば、効果がないことは当然である。効果がない合意を「異例の協調減産」と報道するのは、報道機関が政府に忖度しているからであろう。
現在のあらゆる報道に忖度が多く含まれていることを意識して、先を見ていく必要がある。