ndtm50の日記

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マイナス金利政策は筋の悪い政策

金融市場の混乱がなかなか収まりませんが、その要因に日本銀行が1/29に決定したマイナス金利政策が筋の悪い政策だということが挙げられると思います。

元来の金融政策とは、金融緩和(easing)、金融引き締め(tightening)という言葉で表されるように、

マネーの蛇口を調整すること、

つまり、

金融緩和とは、経済が停滞している時には、マネーの量を増やし経済活動の血液たる資金を末端の中小零細企業にまで行き渡らせて経済活動を潤滑化することを意味します。

これに対してマイナス金利政策は、供給量をかえるのではなく、中央銀行が(銀行を通じて)金融機関・投資家にペナルティを与えることによって直接的に金利水準を変更しようという政策です。

金融市場で取引される金利水準は低下しますが、民間の金融機関、投資家にペナルティが課せられるため、ゼロまでの金利引下げと異なり、様々な影響を与えることになります。

特に金融緩和が必要とされる状況下では、民間企業はリスクに敏感に萎縮しているため、ペナルティを課せられると大きな影響を受けます。

エリートであるセントラル・バンカーは、実体経済ではなく机上の学問で政策運営を行う傾向があり、数学の概念である数列の発想でプラスの延長としてマイナスをイメージし、マイナス金利を導入しているのでしょうが、マネー供給を増やすことによるゼロまでの金融緩和と、ペナルティで実現させるマイナス金利政策は連続するものではなく、効果は全く異なるものと考えた方がよいと思います。

むしろ、金融政策元来の考え方に従えば、ゼロまでの金利引下げの延長線上にあるのは量的緩和と考えるのが正しいと思います。

実際、2003年の日本から始まり、リーマンショック後の米国などでも量的緩和政策が効果を発揮してきました。今回でアベノミクスで金融緩和が効果を発揮してきたのは量を主体としてきたことが大きいと思います。


従って、現在のように投資家が萎縮している環境下では、中央銀行は(国債市場の流動性中央銀行の資産の毀損リスクなどといった)枝葉にこだわらず、経済状況に応じてマネーの量を積み上げていくのが正しい考え方と思われます。

なお、マイナス金利が金融緩和として全く無意味といっているわけではありません。マイナス金利が効果を発揮するのは経済を押し上げる力と思います。
経済の先行きに強気になった時、滞留資金へのペナルティ(マイナス金利)は、期待利回りがプラスの投資へ踏み切る強い動機付けとなるはずです。


政府の統制で新聞などでも実体経済は良いとされていますが、経済指標をみればトレンドが下向きになっているのは明らかです。このようなときにはマイナス金利は効果が薄く、むしろ、投資家を萎縮させるという副作用が効いているということです。

そうした意味で、マイナス金利は筋の悪い金融緩和手段であり、現在の状況には副作用が多いことを考えると、1/29の日銀のマイナス金利政策導入は適切な判断ではなかったと思います