ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

冷静な状況は続くか?

 緊急事態宣言が出されたが、国民には比較的冷静に受け止められており、株価も堅調に推移している。

 これまでの危機(金融危機リーマンショック東日本大震災等)とは異なり、インフラ(電気、ガス、水道)やモノの供給、金融に不安が少ないのが大きいと思われる。失業のリスクはあるが、政府がセーフティネットを敷こうとしている。

 しかし、コロナ感染が二次、三次と長期化した場合、モノの供給にリスクがあることは注意した方が良い。

 現在の感染者数、死者数は欧米の先進国が中心だが、今後(あるいは現在も)、衛生面で問題がある発展途上国の感染が拡大する可能性が高い。その場合、資源・食料を中心に供給が減少する可能性がある。

 また、世界中の軍艦内での感染が報じられ始めているが、貨物船リスクもあると思う。 積み下ろし時に他人との接触が避けられず、感染者が紛れ込む可能性は高い。さらに、医療設備が整っていない貨物船内に数日間閉じ込められた状態で発症者が出た場合、かなりのリスクとなる。

 それが明らかになった場合に、乗船拒否が増えて国際物流が止まると、その影響は都市ロックダウンの比ではないだろう。

原油の減産に関する報道と原油市況のギャップにみる報道の忖度

米国トランプ大統領の呼びかけもあって、サウジアラビア、ロシア、米国が中心となってOPECプラスが協調減産で合意した。

先日の日本経済新聞の見出しは『原油の「価格戦争」に幕 主要産油国が異例の協調減産」としている。

「戦争」「異例」という言葉を用いて、ものすごい合意ができたかのように伝えている。

しかし、そのようなすごい合意にも関わらず、原油市況はむしろ低迷している。

それも当然で、コロナによる影響もあって日量2,000万バレルの供給過剰といわれているのに、減産規模は日量970万バレルに過ぎない。

世界生産の1割に相当するとのことだが、価格政策として減産するのに供給過剰量の半分しか減産しないのであれば、効果がないことは当然である。効果がない合意を「異例の協調減産」と報道するのは、報道機関が政府に忖度しているからであろう。

現在のあらゆる報道に忖度が多く含まれていることを意識して、先を見ていく必要がある。

財政政策の問題点

コロナ感染症は依然として収束がみえないが、株式市場が堅調である。

大きな要因が財政政策が大判振る舞いしており、景気が早期に回復することを期待しているのだろう。

 

米国のトランプ大統領が自らの再選のために超大型の財政政策を掲げ、主要先進国がそれに続いている。日本もバラマキ政策を実行しようとしている。

 

しかし、財政政策には持続性がないことには注意が必要である。

金融政策は一度金利を下げると、経済環境が改善しなければそのまま低金利が維持される。従って、少なくともアクセルをふかしたままの状態が続く。

 

一方、緊急時の経済政策は、単発で財政支出と政策が実行される。

一度、その政策が実行され、予算が消化されると、翌年は新たに予算を立てない限り、大幅に支出が減ることになる。

つまり、金融政策と違って財政政策は、大きくアクセルをふかすが、その後のブレーキもセットになってくる。

 

ブレーキを利かせないためには、毎年、前年と同規模の予算が必要となるが、今回のような超大型の財政政策を続ければすぐに巨額の財政赤字がさらに膨らんでいく。

 

一度の財政政策で景気が元に戻ればよいが、今回のコロナ感染症は、①全世界的な広がりがあり、②地域によって時間差で広がっていて、③ステルス性があって完全に封じ込めることが難しいという特徴があることから、特効薬が開発されない限り、長期間にわたって人の行動を制約する可能性が高い。

 

従って、巨額の財政政策は、景気の谷の深さを和らげるが、その後の回復もマイルドなものにする可能性が高い。

(実際の回復テンポがどうなるかは、回復後の政策次第なので現時点では分析が難しい)

 

株式市場は政府に乗せられて楽観的に振れ過ぎていると思う。

需要不足と供給不足

先日はオリンピックの延期が固まったら急に小池知事が外出自粛を訴え始めた。

今回は経済対策が固まったら緊急事態宣言が発動された。

日本の政治家の判断はすべて常識の逆に動くらしい。

 

さて、経済対策の効果を考える前に、経済不振には需要不足と供給不足があることを意識しておいた方が良いと思う。

 

需要が不足してモノが売れなくなるのが需要不足による景気後退、需要はあるのに供給力(生産能力)が不足して経済が低迷するのが供給不足による経済不振である。

 

現在の経済状況の比較として語られることの多いリーマン後の不景気を含めて、戦後の経済の問題はすべて需要不足によるものと考えてよいと思う。

 

リーマンショックによって(主に逆資産効果によって)需要が大幅に減少し、モノが売れなくなって景気が低迷した。だから、中国による大幅な経済対策(公共投資)が効果を発生した。

 

しかし、今回は戦後初めての供給不足による経済不振がくるかもしれない。

 

ロックアウト等で人の接触を減らし、病院崩壊を防いでも、その後も長期間にわたって人の接触、行動を制約しないと感染症が蔓延する可能性が高い。

 

たとえ日本で下火になっても、他国で感染者がいれば、その国との往来を制限し続けなければならない。

 

これは大変なことだと思う。

 

リモートワークだけでは、全ての業種でこれまでの生産力を維持することはできない。

 

供給制約がある経済では、政府が経済対策として金をばらまいても効果は限られる。

 

トランプ大統領、安倍首相が100兆、200兆と叫んでも、これまでの経済危機と全く構図が異なることを認識できなければ、大変なことが起きると思う。

バブルチャート

先日、米国株・ドル相場・仮想通貨はバブルだと書きました。

理由については、少しずつ丁寧に説明していきたいと思っていますが、今回は、チャートを載せておきます。

【米国株チャート(2000年代の平均=100)】
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これをみると、一番わかりやすいですね。
特に、トランプ政権発足後の上げは余分だったと思います。

【ドル実質実効為替レート】
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実質実効為替レートのチャートをみたことのある人は少なく、どのように判断するのか難しいと思いますが、経常収支の動きと比較しながらみるものです。

1995年頃にルービン財務長官が強いドル政策をとる前までは、経常収支も比較的均衡しており、このころをドルの適正値とみるのが正しいと思います。

2000年代初めほどではありませんが、現在もドルはかなり割高です。

【仮想通貨】
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仮想通貨の呼び方を「暗号資産」に変えるそうです。どうせなら「暗号データ」にすればよいと思います。資産ではないですから。

すでに指摘しているように、金融理論で考えれば仮想通貨には価値がありません。価値のないものを資産と呼ぶのはおかしいです。これまで仮想通貨と呼んできたものは、保護された「データ」に過ぎないのです。

バブル三兄弟

昔、だんご三兄弟という歌が流行りました。
調べてみると1999年のことで、もうグーグルが自動でサジェストもしてくれませんでした。
当時は、金融機関の不良債権問題が深刻で、企業の「債務の過剰」「設備の過剰」「人員の過剰」を団子三兄弟にかけて過剰三兄弟と呼ばれたりしました。

現在の状況は、「米国株」「ドルの実効相場」「仮想通貨」がバブル三兄弟ともいえる状況と思っています。
米国株はピークからだいぶ下げましたが、過去数年のチャートをみても、どこまで下げるか恐ろしいぐらいです。

バブルは破裂してみないとわからないと言われます。それは、バブルが発生している最中は、理論的にその価格を裏付けるものがあるからです。

現在の米国株も企業収益、低い金利で理論的には説明できています。これをもって適正とみている専門家も多いと思います。

しかし、企業収益、低い金利ゴーイングコンサーンかが問題です。このメカニズムを考えたとき、非常に危うい均衡を保っていることが分かります。

その点については次回書きたいと思います。

米国株の現状を考える

8月は、トルコを初め経常収支の悪い新興国からの資金流出などの波乱もありましたが、米国株式は相変わらず堅調で、8月最終週には、S&P 500が久しぶりに最高値を更新しています。

これらの動きをみて、やはり米国経済は強く、米国株は今後も堅調に推移するだろうという見方が増えているようです。

そこで、少し国際比較をしてみました。データ元はネットで適当に調べたものであり、若干怪しいものもあります。また、時期も最新のものばかりではなく、過去1年ぐらいのものも含まれていますが、確認が面倒なのでそのまま使用しています。いい加減で申し訳ありませんが、全体感をつかむのは、これぐらいアバウトでも十分と思いますのでご容赦ください。

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これをみると、過去の基準で考えると、アメリカの株式市場の時価総額は異常に膨らんだ水準であることが分かります。

特に、経済成長率が下がっているのに、時価総額GDP比率が他の国と比較して断トツに大きくなっています。

これは3つの可能性で説明することは可能です。

1つ目は、米国の上場企業は多国籍企業が多く、米国だけで利益を上げるわけではないので、アメリカのGDPと比較するのではなく、世界のGDPと比較すべきとの考え方です。

なお、米国企業の時価総額上位5社は、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトフェイスブックで、この5社だけで25%ぐらいのシェアを占めています。

しかし、アマゾン、グーグル、フェイスブックは事実上、中国市場から締め出されています。今後もそうした自国主義が強まる可能性も考える必要があります。


2つ目の可能性は、経済が成熟化したアメリカは寡占化が進んでおり、また寡占企業の多くが上場しているのに対し、新興国では中小企業が多く上場も進んでいないため、上場企業が経済に占めるシェアが低い可能性です。

しかし、最近急成長している新興国では、外国からの技術導入した一部企業が経済を牽引する傾向があり、その可能性は低いように感じます。

3つ目の可能性は、アメリカでは資本主義が徹底しており、付加価値(=GDP)のうち労働者へ配分される分が少ないため企業に留保される利益が大きくなり、付加価値(=GDP)に対する企業価値が大きくなることです。

※ GDP ≒ 最終消費支出 + 総資本形成 + 純輸出 
      ≒ 雇用者報酬(賃金) + 営業余剰(企業利益) + 固定資本減耗(減価償却

しかし、好景気が続き労働市場がひっ迫すれば、通常は国際裁定が働きます。直感的にも、アメリカの労働者より中国の労働者の方が厳しい環境におかれているように見えます。

このほかにも、アメリカ企業(経済)は競争力が高いとか成長性が高いといった理屈をつける人も多いと思います。しかし、アメリカのGDP成長率はかなり低くなっており、海外で大きな利益を上げない限り、この理屈は成立しません。(海外で大きな利益を上げる場合は、私が挙げた1番目の要因になります)

世界中の中央銀行が金融引き締め方向に舵を切り金融市場が不安定化する中、アメリカの株式市場が牽引する形で金融市場を支えている構図となっています。そのアメリカの株式市場が過去の基準で説明しにくい水準まで上昇していることを考えると、相場の先行きには慎重に考えるべき時期にあると考えています。