ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

2015-01-01から1年間の記事一覧

金融危機になるリスクを考える(3) 中国の金融危機について

長期に亘る高い経済成長が続いた後、夏場に急激な株価下落があったことから、中国経済が危ないという人がたくさんいます。 現在の中国経済は事実上世界No.1(購買力平価ベースのGDPがアメリカを抜いて既に世界最大)なので、中国経済の状況を正確に判断する…

金融危機を考える(2) 危機は忘れたころにやってくる

国家に対する信用毀損であるソブリン危機を除き、通常の金融危機は、主に「流動性危機」と「信用危機」に分けられることを説明しました。 そのうち、「流動性危機」は景気の良いとき・経済が強いと思われているときに起き、「信用危機」は景気が悪いとき・経…

(相場の)マグマがたまりつつある

本日東証が発表した信用買い残高が3週連続で増加していますが、今回の下げ局面では既にナンピン買いしている個人投資家が多いのではないでしょうか。 理由は、下げている理由がよく分からないからです。 今回の下げ局面で報道されている市場関係者の説明は…

金融危機になるリスクを考える(1)

新聞等の市場関係者等のコメントはポジショントークや先入観、こうあって欲しいという願望に満ち溢れていまず。 米国経済は強く中国は危ないというのも、日本人のこうあって欲しいという願望からくるものだと感じられます。 しかし、私は、現時点でのリスク…

米国金融市場に死角あり

12/15、16に開かれる米FOMCで9年半ぶりの利上げが予想されています。 市場関係者のコメントをみると、そのほとんどが米国経済の強さを指摘するものとなっています。 つまり、新興国を中心に世界経済が脆弱性をはらむ中、米国だけが力強く回復軌道に乗ってお…

政府のダム理論は間違っている

最近の政府の行動をみると、安倍政権は、景気が加速しないのは企業が利益を溜め込んで賃金を増やさず個人消費が低迷していることが要因と思っているようである。 つまり、ダム理論を『企業が利益を上げ内部留保を厚くすると、ダムから水が溢れ出すように企業…

企業収益のピークアウトに要注意

経済政策、市場予測など、いろいろなものの前提として好調な企業業績が挙げられていますが、今後、ピークアウトする可能性が高いと思っています。 ある企業の原材料費はそれを売った企業の売上になっています。つまりマクロでみると、大半の原材料費、燃料費…

地合をみるには市場全体をみる必要あり

日経平均株価 +1.3% TOPIX +0.88% 東証2部指数 -0.44% 日経ジャスダック指数 -0.13% マザーズ指数 -1.48% 本日は郵政3社の上場だったので、とにかく株価を上げたかったのでしょう。 祝日をはさんで2日分、海外が上げていたのも追い風だったはず…

潜在成長率を引き上げる成長戦略の現実的な答え

日本経済の問題は供給面(低い潜在成長率)であるという見方が増えてきました。 経済統計から計算した需給ギャップがゼロに近づく中、GDPの伸びが停滞していることが原因と思います。 しかし、私が見る限り、ほとんどの新聞・雑誌・ネットの記事が、現象…

精度の低い統計を信じる政府・日銀の判断は斜めに構えておくべき

最近、役所間で経済統計の精度について相互に指摘しあっている(罵り合っている)ようですが、もともと、サンプル調査である経済統計の精度が低いことは当然のことだと思います。 特に精度が低い指標の一つであるGDP統計を絶対的なものさしのように語るエ…

とんちんかんな政策運営(金融緩和見送りと大幅な財政赤字下での補正予算)

本日の日本銀行金融政策決定会合で追加緩和が見送られると同時に3兆円を超す補正予算のニュースが出ました。(正確にはこのブログを書いているのは翌日10/31の1時前なので、昨日の話になります。) 予想どおり、支持率低下に焦り、来夏の参議院選挙に向けて…

失われた25年はまだまだ続く

今週はECBが12月の金融緩和を示唆を示唆し、中国は利下げと準備預金率下げを実施しました。 ECB総裁による金融緩和の示唆は金融緩和のアナウンス効果を狙ったものであり、実質的な金融緩和の実施と言えます。実際、ユーロが下落し、株価が上昇しまし…

新アベノミクスで旧来型の経済政策へ逆戻り

経済政策は、「成長政策」と「分配政策」の二つに分けることができます。 「成長政策」は、経済成長を通じてパイを広げるための政策です。 そして、成長政策は、景気を良くして成長を促す景気刺激策と、政府が成長を高めるために行うインフラ投資などの成長…

政府・日銀は最低のドライバー(運転手)

景気は振り子のように良くなったり悪くなったりします。 しかし、一見、振り子のように振れているものでも、そのメカニズムによって以下の二つに分けることができます。 ①糸の先に重りがついた振り子が重力によって自動的に行ったり来たりするように、自動的…

日本銀行の経済分析力

先日、黒田日銀の問題点として、「戦力の逐次投入はしない」という方針について書きましたが、昨日の黒田総裁の記者会見の内容を見る限り、経済分析力についても問題があるようです。 記者会見で、黒田総裁は「エネルギーを除けば物価は1.1%上昇しており、…

黒田日銀の重大な欠陥

現在の黒田総裁が率いる日本銀行は、少なくとも日銀法改正以降の日銀の中ではずば抜けてまともな政策運営が行われいます。しかしながら、黒田日銀には重大な欠陥があり、最近はその影響が徐々に顕在化しています。 重大な欠陥とは、就任当時に表明し、現在も…

アメリカの相場 8年周期の背景

経済というものは、基本的に前回説明した循環メカニズムで動いています。 生産が拡大し始めると、循環メカニズムが正回転しますので、どんどん景気は良くなります。 生産が縮小し始めると、循環メカニズムが弱くなっていきますので、景気はどんどん悪くなり…

支離滅裂になってきた政府・日銀の経済政策にリスクの芽

最近の政府・日銀のコメント、政策運営が支離滅裂になってきたので、コメントしておこうと思います。 まず、日銀黒田総裁ですが、9/15の金融政策決定会合後の記者会見で 「企業部門、家計部門ともに所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと作用…

バブルを避けるために経済成長を放棄している日本

これまで何度か説明してきたように、アメリカの金融政策は物価の安定と最大雇用の実現を目指しています。 つまり、価格が安定している限り、雇用を拡大するために需要を刺激続ける低金利を継続します。 従って、為替がドル高に推移し、輸入価格が低下すれば…

8年に一度バブルを経験するアメリカとそれが怖くて経済成長をあきらてきた日本

前回までに説明した為替のメカニズムと、それを政治的に利用した為替政策は、景気循環、相場変動に大きな影響を与えるようになっており、特にアメリカの金融市場では、8年に一度バブル(とその崩壊)を経験するようになっています。 それを理解するにあたっ…

真逆な結論が導かれる二つの為替理論

これまでに説明した為替の決定理論について、比較してまとめました。 一番初めに指摘したとおり、(制約条件の置き方が異なり、かつ非現実的なため)同じ環境において全く逆の結論が導かれます。 (二つの為替理論の比較) 購買力平価仮説 マンデル・フレミ…

為替の決定理論について考える

少し時間が空きましたが、為替に関する第三弾です。 今回は、金融政策が為替を動かすという考え方について書きたいと思います。 経済学では様々なモデル(実体経済に様々な制約を与え、数式で表したもの)が考えられていますが、その中で国際経済や為替水準…

黒田日銀の金融政策に関する2つの特徴

9/10に日銀の金融政策について書いたので、ついでに現在の黒田日銀の金融政策の特徴についてもコメントしておこうと思います。 黒田日銀の特徴は、①too late & too big (遅すぎて大きすぎる)、②アナウンスメント効果の考え方・使い方が偏っていることです…

いよいよ高まり始めた日銀へのプレッシャー

8/24のこのブログで予想したように、日銀が追い込まれつつあります。 昨日の日経新聞の経済教室欄で、浜田宏一エール大学名誉教授が「プラザ合意30年-金融政策の失敗、傷口拡大」という題で論文を載せていました。 その中で、(プラザ合意がテーマにもかかわ…

豪ドルが70円台を窺い、新興国通貨が引き続き軟調な中、為替理論を考える

8月中旬から為替が大きく変動しています。 ドル円だけをみていると動きも落ち着きつつあるようにみえますが、豪ドル円はついに70円台がみえる水準まできましたし、新興国通貨は売られ続けています。 そこで、為替について考えてみたいと思います。今回は、…

儲けのパターン

8月は大きく相場が変動したため、損益が大きく変動した投資家が多かったと思います。 特にうまく乗り切れなかった方は、いろいろな反省があったと思います。 そこで、今回は、長期的に見て成功する(儲かる)投資家のパターンを私の経験から考えてみました…

政策当局や大口投資家によるポジション・トーク

先日のブログで、アメリカは為替誘導を政策手段に利用しており、特に近年は、通貨高によるインフレ抑制で金利を低めに抑え、資産価格高を狙っていると主張しました。そして、それが、米国発の金融市場の混乱の原因になっていると説明しました。 今回から数回…

チャートの節目が近づく

チャートからみて日経平均のボトムは17500円近辺を想定し、18500円ぐらいから買い下がろうと思っていましたが、あっという間にその水準まで来てしまいました。 欧米市場で為替が大幅な円高に振れており、輸出企業の収益悪化懸念と追証売りで明日も大きく下げ…

米国の通貨政策と金融危機の関係

最近の相場の動きについて、米国のドル政策が影響しているとみていますので、その背景等について書いておこうと思います。 まず、米国は、少なくとも1980年代半ばぐらいから、為替を政策手段に使っています。 建前では市場主義を唱えていますが、実際の行動…

相場転換か息抜きか

前回の続きでドルと米国市場について書こうと準備していたら、世界的に金融市場が大変なことになってきたので、先に最近の相場についてコメントしておこうと思います。 私は今回の相場は、「高値水準での息抜き」とみています。(中国市場を除いて) 理由は…