ndtm50の日記

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企業収益のピークアウトに要注意

経済政策、市場予測など、いろいろなものの前提として好調な企業業績が挙げられていますが、今後、ピークアウトする可能性が高いと思っています。

ある企業の原材料費はそれを売った企業の売上になっています。つまりマクロでみると、大半の原材料費、燃料費は相殺することができます。従って、日本全体でみると、売上は名目国内最終需要+輸出金額になります。

同様に原材料費は輸入金額となります。(国内で生産される鉱物等もありますが些少なので無視します)

それ以外の個別企業の売上、原材料費は、他の企業の原材料費、売上と相殺されて消えます。

一方、原材料費、燃料費以外の経費は、人件費、設備費(減価償却費)、土地賃貸料が挙げられます。

日本全体の企業収益の動向を考えるには、これら(売上=名目国内総生産+輸出、原価=輸入金額、経費=人件費+減価償却+土地賃貸料)を予測すればよいことになります。

まず売上を考えると、国内最終需要と同様の動きをする生産は弱含んでいます。物価水準も今後停滞することが予想されています。輸出も海外景気の停滞が続いているので大きく伸びることはなさそうです。2~3年売上増加に寄与してきた為替も概ね安定して推移しています。ドル高が米企業の業績にマイナスに効くレベルに達していますので、円ドル相場が大きく動く可能性は低そうです。

そのように考えると、売上の伸びは今後、大幅に鈍化するものと思われます。

他方、原材料費、燃料費は鉱物資源の世界市況の大幅低下が寄与してきましたが、中国景気の停滞を概ね織り込んだことから、今後の大きな変化はないものと思われます。

従って、マクロベースでみた売上総利益(売上-原材料費)は、今後、大きく伸びる可能性は低いと思われます。

経費のうち、人件費に関しては、政府が企業の利益を賃金として労働者へ分配することが消費を刺激して景気拡大を長期化させると信じて積極的に介入しています。大企業を中心に多少は配慮せざるを得ないことから、人件費は増加することが予想されます。

しかしながら、増加した賃金は、消費性向と呼ばれる掛け目部分しか消費に回らないこと、タイムラグがあることから、政府が目論むように賃金増加が景気拡大、売上拡大に寄与する可能性は低いと思います。

従って、売上よりも経費増加の影響の方が大きくなり、企業の利益を圧迫すると考えられます。

政府は設備投資も同様に企業に圧力をかけていますが、企業は今後人口減少が続く国内よりも海外への投資を優先させていることから、大きな効果は見込めないと思われます。実際に、資本財の生産は低調です。

このように考えていくと、政府が景気拡大、消費刺激のために行っている賃金増加が企業の利益を圧迫して、企業収益がピークアウトする危険性が高まっていると思います。


先日まとめて書きましたが、分配政策(今回は、企業→家計への利益移転)と拡大政策(GDP拡大)を混同してもっともらしく考えては、間違える可能性が高いということです。