財政政策の問題点
コロナ感染症は依然として収束がみえないが、株式市場が堅調である。
大きな要因が財政政策が大判振る舞いしており、景気が早期に回復することを期待しているのだろう。
米国のトランプ大統領が自らの再選のために超大型の財政政策を掲げ、主要先進国がそれに続いている。日本もバラマキ政策を実行しようとしている。
しかし、財政政策には持続性がないことには注意が必要である。
金融政策は一度金利を下げると、経済環境が改善しなければそのまま低金利が維持される。従って、少なくともアクセルをふかしたままの状態が続く。
一方、緊急時の経済政策は、単発で財政支出と政策が実行される。
一度、その政策が実行され、予算が消化されると、翌年は新たに予算を立てない限り、大幅に支出が減ることになる。
つまり、金融政策と違って財政政策は、大きくアクセルをふかすが、その後のブレーキもセットになってくる。
ブレーキを利かせないためには、毎年、前年と同規模の予算が必要となるが、今回のような超大型の財政政策を続ければすぐに巨額の財政赤字がさらに膨らんでいく。
一度の財政政策で景気が元に戻ればよいが、今回のコロナ感染症は、①全世界的な広がりがあり、②地域によって時間差で広がっていて、③ステルス性があって完全に封じ込めることが難しいという特徴があることから、特効薬が開発されない限り、長期間にわたって人の行動を制約する可能性が高い。
従って、巨額の財政政策は、景気の谷の深さを和らげるが、その後の回復もマイルドなものにする可能性が高い。
(実際の回復テンポがどうなるかは、回復後の政策次第なので現時点では分析が難しい)
株式市場は政府に乗せられて楽観的に振れ過ぎていると思う。