ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

デフレは続いている

現在がデフレ状態かどうかという議論があります。

先月末の新聞記事で、「安倍晋三首相は28日午前、参院本会議でアベノミクスが行き詰まっているのではないかとの指摘を受けたのに対し『経済の好循環は回り始めており、デフレではない状況を作り出すことができた』と語った。」というのがありました。

政治家は自分が主導した政策がうまく言っていると有権者を説得しないと次の選挙で不利ということがありますのでどうしてもポジショントークになりますが、①経済の好循環が回り始めているということは明らかな事実誤認です。

2015/9/27「支離滅裂になってきた政府・日銀の経済政策にリスクの芽」http://blogs.yahoo.co.jp/invester_nd/40126392.html の中で経済の循環メカニズムについて少し詳しく書きました。

簡単に言うと、生産活動が活発になると所得が増えて、それが需要を拡大させてさらに生産が拡大するというのが経済の循環メカニズムです。

好循環が回っているというからには生産活動が拡大していなければなりません。

しかし、鉱工業生産指数を時系列でみると、過去2年間程度、ほとんど拡大していないことがわかります。従って、経済の好循環が回り始めているという安倍首相の説明は間違っています。

さらに重要な点は、通常の金利政策では景気刺激効果が足りず、量的拡大(によるマイナス金利長期金利の誘導)によってかろうじて物価下落を止めていることです。

これは、病気が悪化したため解熱剤で熱を下げたようなものです。
解熱剤が切れればすぐに熱が上がります。このような状態を病気ではないといえるでしょうか。

病気の症状(デフレ)を強力な薬(マイナス金利)で和らげているというのが正しいと思います。

言い換えると、流動性のわなから抜け出せていないので、通常の金利政策(短期金利の誘導)では経済刺激効果がほとんど働いていないということもできます。

つまり、デフレで流動性のわなに陥った状態だが、強烈な金融緩和でなんとか物価下落というデフレの症状を和らげている状況が今の状況です。