ndtm50の日記

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精度の低い統計を信じる政府・日銀の判断は斜めに構えておくべき

最近、役所間で経済統計の精度について相互に指摘しあっている(罵り合っている)ようですが、もともと、サンプル調査である経済統計の精度が低いことは当然のことだと思います。

特に精度が低い指標の一つであるGDP統計を絶対的なものさしのように語るエコノミストや政治家が多いのは、よく覚えておいた方が良いです。(つまり、彼らの解説は全くあてにならないということです。)


さて、そのような精度の低いものを利用して分析するには、数字一つ一つで判断するのではなく、複数の数字から仮説をたて、全体的な整合性を検証しつつ、最も確からしい仮説を見つけることがポイントです。そのためには、時間をかけて一歩ずつ真実に近づく必要があります。


日本銀行や関係者のコメントから判断すると、10/30の金融政策決定会合で追加緩和を見送った最大の要因は労働需給が引き締まっていることだと思われます。実際、経済統計でみると、9月の有効求人倍率は1.24倍と高水準で推移しています。

しかしながら、一方で、10/31の日経新聞の見出しで「日銀、進まぬ賃上げ懸念」とありました。労働需給が本当に締まっているのであれば賃金上昇が進まないことを心配する必要はありません。(賃金は上がっているはずです)
ここに数字の間の矛盾があります。矛盾を解明しない限り、真実に近づいたとは言えません。それで政策運営するのは、自分の都合の良い面だけみる下手なディーラーと同じです。

なお、有効求人倍率は、あまり精度の良い統計ではないです。実態は、(労働市場の需給は)数年前よりはずっと改善しているものの、賃金を上げてまで人を採用するほど過熱した状況ではないということだと思います。つまり局地的には相当人手不足感は強まっているものの、平均的には、まだ何とかなる程度だということだと思います。

精度の低い数字で分析するには、複数(なるべく多く)の数字でみることが大切です。それができない人の判断は誤ることが多いので注意が必要です。