ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

とんちんかんな政策運営(金融緩和見送りと大幅な財政赤字下での補正予算)

本日の日本銀行金融政策決定会合で追加緩和が見送られると同時に3兆円を超す補正予算のニュースが出ました。(正確にはこのブログを書いているのは翌日10/31の1時前なので、昨日の話になります。)

予想どおり、支持率低下に焦り、来夏の参議院選挙に向けて高齢者や公明党支持層にアピールしたい安倍政権は、実質所得の減少となる物価の上昇を抑えるための金融緩和の打ち止めと、財政のバラマキを行ってきたということだと思います。

追加緩和見送り後の市場は、株価が一旦売られた後に急に戻したことから、「イベントを通過して買いを控えていた投資家の買いが入った」などと説明されていますが、来週の郵政三社の上場を控えて株価維持のための公的資金が入ったのは見え見えです。


さて、1990年代前半以降の、(米国などの)海外と日本の最大の違いは、海外は「金融緩和・財政引締め」、日本は「金融引き締め・財政緩和」の傾向が強い政策運営を行っていることです。

金融緩和・財政引締めを行うと、資産価格は上昇しやすくなります。また、財政赤字も縮小します。米国の株価は20年間でかなり上がっています。(米国だけではありません)

他方、金融引き締め・財政緩和を行うと、資産価格は抑制され、財政赤字が拡大します。(日本の株価は20年以上、一進一退です)

※ 資産価格が抑制されるのは、資産価格≒キャッシュフロー÷実質金利となるため。
(金融が引き締められると実質金利が高止まりする。


アベノミクス前半では、積極的な財政も謳いつつも消費税率の引き上げ(5→8%)は実現し、傾向としては「金融緩和・財政引締め」でした。結果として、経済は活性化し、(まだ高水準ですが)財政赤字の規模が大きく縮小するなど、良好な成績を収めました。

しかし、高齢者や建設業などの公共事業に依存している特定業界からの支持を集めようとすると、財政赤字は拡大しやすくなります。財政赤字が拡大すると、必ず批判的な政治勢力が現れ、財政支出が抑制に向かうため、景気刺激効果は一時的なものに終わります。

そうした中、株価が下がると政権支持率が下がるので公的資金で買い支えるというのは、もう終わった感じがします。少なくとも相場の折り返し地点はだいぶ過ぎているように思います。

7~8月に一度高いところを見てしまったので今の水準は売りにくくなっていますが、国内ではこれ以上積極的にリスクをとる必要はなく、着実にポジション整理していくタイミングに入ったと判断しています。