ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

相場転換か息抜きか

前回の続きでドルと米国市場について書こうと準備していたら、世界的に金融市場が大変なことになってきたので、先に最近の相場についてコメントしておこうと思います。

私は今回の相場は、「高値水準での息抜き」とみています。(中国市場を除いて)
理由は、悪材料が揃いすぎていることです。

悪材料は、中国の景気鈍化、資源価格下落による新興国経済の停滞、ユーロ問題が片付いていないこと、米国の利上げ(が近いこと)、米国が金融引き締めをにらんでいる状況で日欧も追加金融緩和が見込みにくいこと、これまで大きく上昇してきて高値警戒感があることなどです。

特に、(ゼロ金利からの脱却を模索する)米国FRBに速やかな政策対応を期待できないことは、投資家心理として、我慢できずにポジション整理に走らせることになります。このような場合には、相場の短期的な調整は早く大きくなりますが、大相場にはなりにくいです。

大相場になるときは、短期的な調整とみて耐える投資家が一定割合いるときが多く、この場合は、初期の段階では売り買いが交錯して乱高下しながら推移し、そのうち上値が重く耐え切れなくなった投資家が少しずつポジション整理を始めるため、上値を切り下げる動きとなります。そして、投資家の投げが少しずつ続くため、いつまでたっても底入れしない、という相場展開になります。

今回は、悪材料が揃いすぎているため、ロングに偏っている投資家の投げは早いと思います。(実際に、今週の下げは世界的に急でした)

但し、息抜きがいつどこで終わるかは現時点では分かりません。また、次の材料が相場転換に繋がるものとなるかもれしませんので、安易な押し目買いは禁物と思っています。押し目を拾うなら、18500円ぐらいを目処にゆっくり構えていきます。


なお、今のところシナリオは以下のとおりです。

今回の相場混乱でFRBによる9月の利上げ観測が後退
⇒為替のドル高修正が入り、米国企業の収益改善観測が広がる
⇒投資家の投げが一巡したところで、収益改善期待から押し目買いが入り始めて米国株価が底入れする
 ・日銀によるETFの買い支えや追加金融緩和観測が流れ始め、日本株も底入れ
 ・中国当局の市場介入で中国株式も一旦下げとまり
⇒世界的に金融市場が安定を取り戻す


注意点は以下のとおりです。

・何度も指摘しているように、中国の問題は、金融緩和が甘く景気が減速から低迷に転換しつつあることです。従って、中国当局の株価介入では一時的に株価が安定しても長期的な安定は見込めません。
(現在の中国政府は為替市場と株式市場の違いを理解していないように見えます)

・中国のデフレ化は、インフレーション・ターゲティングをとる先進国にとっては金融緩和で成長を加速する材料となります(生産能力の不足によるインフレの成長成約が緩むため)。適切に金融政策を行っている国の経済の停滞は一時的で収まると思います。

・来年になると大統領選挙が本格化するので、FRBは今年中に一度は利上げをしたいと考えていると思います。その考えは、今回の市場の混乱でも変わらないでしょうから、利上げを焦った場合に市場の混乱が加速するリスクがあります。また、安定を取り戻せば年内利上げ観測がすぐに浮かんでくるため、米国株式市場の大幅な戻りは期待しにくいと思います。

・今年前半のユーロ安で経済が回復に向かっている欧州は、相対的に安心感がある市場と思います(今週のユーロ相場は比較的安定していました)。但し、ユーロが買われれば、ユーロ圏の株式市場には売り圧力がかかると思います。

・本格的な金融緩和が行われない限り中国の景気転換は見込めないので、資源価格の反発はあまり期待できませんし、中国依存度の高い周辺新興国への投資は慎重に考えたほうが良いと思います。