ndtm50の日記

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黒田日銀の重大な欠陥

現在の黒田総裁が率いる日本銀行は、少なくとも日銀法改正以降の日銀の中ではずば抜けてまともな政策運営が行われいます。しかしながら、黒田日銀には重大な欠陥があり、最近はその影響が徐々に顕在化しています。

重大な欠陥とは、就任当時に表明し、現在も実行している「戦力の逐次投入はしない」ということです。

黒田総裁の就任当時は、前総裁時代の異常な政策運営の結果、金融緩和の度合いが大きく不足している状況でしたから、逐次投入せずに大胆な緩和を行うことに合理性がありました。

しかし、経済の状態に概ね沿った政策運営が行われている状況では、むしろ経済状況の変動に応じた小幅な調整こそが相応しい政策運営となります。

グリーンスパンFRB議長の政策運営が最も成功していた時期は、小幅な政策変更を繰り返しており、ファイン・チューニングなどと呼ばれていました。


金融政策は、病気の時の薬と同じで、引き始めにすぐに薬を投与すれば少ない量ですぐに効きますが、こじらせてからの薬はなかなか効きません。

病気の兆候(つまり景気の先行きへのリスク)を認識したら速やかに軽い薬を投与(小幅の政策変更)することで、景気を良好な状態に維持することができます。

しかし、逐次投入しないと宣言しているため、病気の兆候程度(中国経済の減速など外部環境の小さな変化)では動かず、病気が悪化してから(景気が失速しかけてから)強い薬(大幅な金融緩和)を行う結果となっています。

金融政策はフォワード・ルッキングが必要とされていますが、バックワード・ルッキングの政策がとられているということです。これでは、景気の変動が大きくなり、経営者は投資判断をしにくくなります。

さらに、大幅な緩和を繰り返した結果、金融市場での日本銀行のプレゼンスが高まっており、打つ手がなくなってきたと指摘されたり、追加の金融緩和は副作用が心配と言われるようになってきました。(実際には打つ手はいくらでもあります。)

このような時は、小さな金融政策を繰り返していけばよいのです。(数は力なりです)


もっとも、リスクのない公務員出身の総裁には、リスクというものを正確に理解し、コントロールするのは難しいのかもしれません。