日本銀行の経済分析力
先日、黒田日銀の問題点として、「戦力の逐次投入はしない」という方針について書きましたが、昨日の黒田総裁の記者会見の内容を見る限り、経済分析力についても問題があるようです。
記者会見で、黒田総裁は「エネルギーを除けば物価は1.1%上昇しており、上昇基調を保っている」と語ったと報道されています。
9/24の講演でFRBのイエレン議長は、「インフレのメカニズムは雇用とインフレの関係を示す伝統的な経済理論をもちいても一部しか説明できず、経済学界の理解は完全からはほど遠い」と話したそうですが、少なくと経済の循環メカニズムについては、最も基本的な考え方として確立しています。
現在の日銀がしがみついているインフレ率2%を達成すると考える根拠は、①企業収益、②雇用環境の逼迫度合い、③最近の物価の動きですが、すべて景気(生産活動)の遅行指標です。
外部環境の劇的な改善がないかぎり生産活動の回復は見込みにくく、企業収益、雇用・所得環境の悪化を通じて物価にも効いてくるはずです。
少なくとも、景気が停滞する可能性はかなり高まっています。そうした先行きのリスクに備えるのが本来の金融政策の役割です。
もっとも、黒田総裁は根本的にうそつきなので、コメントを注意深く分析すること自体が無意味かもしれません。