ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

金融危機になるリスクを考える(1)

新聞等の市場関係者等のコメントはポジショントークや先入観、こうあって欲しいという願望に満ち溢れていまず。
 
米国経済は強く中国は危ないというのも、日本人のこうあって欲しいという願望からくるものだと感じられます。
 
しかし、私は、現時点でのリスクという点では、米国市場が一番危ないのではないかと思っています。そして、米国発の危機が再び世界へ波及することを意識して、ポジションメイクを行っています。
 

米国市場がリスクが高いことを説明するために、金融危機について考えてみたいと思います。



通常の相場下落が、市場全体に金融危機として波及するパターンとして、ソブリン危機、信用危機、流動性危機があります。


ソブリン危機は政府のデフォルトへの懸念から、資金が流出しスパイラル的に資産価格が下落する状況をいいます。

債務者としての国家を考えた場合、特徴は通貨発行権と徴税権を持っている点です。経済の教科書などで中央銀行が国家から独立しているかのように書かれているものがありますが、それは政治的なプロパガンダで、通貨発行権と徴税権は国家の権利です。(実際の権利行使は発券銀行に任せています。)

国家は通貨発行権がありますので、自国通貨建ての支払いで支払いできなくなることはありえません。いくらでも通貨を発行して返済することができます。

国家が返済できなくなるのは、外貨(主に基軸通貨)の債務の返済において、外貨の調達ができなくなるケースです。従って、ソブリン危機とは通貨危機と同義です。

何らかの理由で自国通貨を発行して外貨へ交換した場合の通貨安を許容できないことから、外貨調達ができず、外貨建て債務の返済ができなくなるのが、典型的なソブリン危機です。


また、信用危機と流動性危機は正反対の性質を有しています。

信用危機は景気後退が続いた後に起こります。景気後退が続くと売上不振で赤字から抜けられなくなる企業が多くなります。そうした企業は、投資家が信用リスクに敏感になってくると、リスク回避のために資金循環が悪くなり、市場は危機的な状況に陥ります。

他方、流動性危機は好景気が続いた後に起こります。景気の良い状態が続くと、先行きに楽観的になり、借入金で資産購入する投資家の割合が上昇していきます。こうしたレバレッジが高まったところに金融引き締め等が起こると、初めはバリエーション上、割安な資産まで、追証や追加担保を迫られた投資家が資産を売るので、相場が崩壊します。

そして、逆資産効果で消費・投資が冷え込むと、売上不振で業績が悪化し、資産価格下落に拍車がかかる状況を流動性危機といいます。

つまり、信用危機は景気後退期末期に、流動性危機は景気拡大期末期に起こります。

以上の理解で世界経済をみると、米国経済が一番、流動性危機のリスクをはらんだ状況にあると思われます。
 明日以降、もう少し詳しく説明したいと思います。