ndtm50の日記

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真逆な結論が導かれる二つの為替理論

これまでに説明した為替の決定理論について、比較してまとめました。

一番初めに指摘したとおり、(制約条件の置き方が異なり、かつ非現実的なため)同じ環境において全く逆の結論が導かれます。


(二つの為替理論の比較)

               購買力平価仮説              マンデル・フレミング・モデル

決定要因      貿易財の相対価格                金融政策の相対的関係

理論で導かれる  為替の水準                    為替の方向性
もの

カニズム     貿易の決済金の偏り(貿易収支)       資本取引(投機資金の動き)
           により、為替水準は理論値へ          により、期待収益率の高い通貨へ
           修正される。                   の資金シフトが為替水準を変動させる。

タイムラグ    タイムラグが大きく、理論値からの       タイムラグは小さく、短期的かつ速やか
          乖離が修正されるまでに時間          に為替変動する。          
          がかかる。

修正圧力の特徴  理論値へ修正する復元力は、        理論どおりに相場を動かす力は、初め
            初めは小さく、累積的に大きくなる。     大きいが、徐々に減衰し、長期化する
                                      と、むしろ資金還流の圧力がかかる。

経済環境と     インフレ率の高い国では、時間の経過   インフレ率の高い国では通常金融引き
理論によって    とともに他国より物価が高くなるため、   締め策(高金利)がとられるため、資本 
導かれる結論   通貨価値の理論値は逆に低下する。    が流入し、通貨価値が高くなる。



 このように二つの理論はメカニズムも結論も対照的ですが、初めはタイムラグが小さいマンデル・フレミング・モデルの理論に沿った動きとなり、相場が長期化するに従って、徐々に購買力平価仮説の理論値に回帰させる圧力が高まります。

 そして、何かのきっかけで市場のトレンドが変わると、一気に購買力平価仮説で導かれる理論値への相場修正の動きが顕在化します。

 その結果、長期的にみると、実際の為替相場は、購買力平価仮説から導かれる理論値の周辺を推移するようになります。(チャートをみれば、このことが確認できます。)

 次回は、これらの理論に沿った動きの結果として相場の動きがどのような影響を受けてきたか、そして、j今後どのような市場の動きが見込まれるかについて書きたいと思っています。