ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

政策当局や大口投資家によるポジション・トーク

先日のブログで、アメリカは為替誘導を政策手段に利用しており、特に近年は、通貨高によるインフレ抑制で金利を低めに抑え、資産価格高を狙っていると主張しました。そして、それが、米国発の金融市場の混乱の原因になっていると説明しました。

今回から数回に分けて、その理論的な説明をしていきたいと思っています。

キーワードは購買力平価説とマンデル・フレミング・モデルです。

これらは有名(有力)な為替や経済を説明する理論ですが、いろいろな前提を置いて構築されており、現実社会に当てはめたときに全く逆の結果を導きます。

今回は、ざっくり説明します。そのうち詳細を説明したいと思っていますので、まずは細かい点は気にせずに読み流してください。


まず、購買力平価説は、実物経済を中心に考えていて、海外と国内で物価水準が同じになるように為替レートが決まると説明しています。

従って、物価が上昇する国の通貨は、物価上昇にあわせて下落していきます。

(例)
1本のえんぴつがアメリカで1ドル、日本で100円で売られているときに、ドル円レートは1ドル=100円となる。
インフレでアメリカのえんぴつが1ドル20セントに値上がりし、日本は100円のままだとすると、その時点でドル円レートは1.2ドル=100円(1ドル=83.3円)と大幅な円高になる。


一方、マンデル・フレミング・モデルは、金融資本に注目します。

金融引き締めで金利が高い通貨は、(高い収益性を求めて)資本が流入し、通貨高になると説明します。



上の例で、アメリカのインフレ率が日本より高い場合、アメリカではインフレ率に合わせて金利が上昇しますので通貨が上がる(ドル高になる)との結論が導かれます。

政府や大口の資本家は、こうした理論をうまく利用して、その時々で都合の良い方向に相場を誘導していきます。(これをポジション・トークといいます)

それでは、次回以降、どうしてこのような理論によって全く異なる結論が導かれるのか、実際の相場に当てはめて考える際にどのように考えれば良いかを説明していきたいと思います。