ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

米国株の現状を考える

8月は、トルコを初め経常収支の悪い新興国からの資金流出などの波乱もありましたが、米国株式は相変わらず堅調で、8月最終週には、S&P 500が久しぶりに最高値を更新しています。

これらの動きをみて、やはり米国経済は強く、米国株は今後も堅調に推移するだろうという見方が増えているようです。

そこで、少し国際比較をしてみました。データ元はネットで適当に調べたものであり、若干怪しいものもあります。また、時期も最新のものばかりではなく、過去1年ぐらいのものも含まれていますが、確認が面倒なのでそのまま使用しています。いい加減で申し訳ありませんが、全体感をつかむのは、これぐらいアバウトでも十分と思いますのでご容赦ください。

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これをみると、過去の基準で考えると、アメリカの株式市場の時価総額は異常に膨らんだ水準であることが分かります。

特に、経済成長率が下がっているのに、時価総額GDP比率が他の国と比較して断トツに大きくなっています。

これは3つの可能性で説明することは可能です。

1つ目は、米国の上場企業は多国籍企業が多く、米国だけで利益を上げるわけではないので、アメリカのGDPと比較するのではなく、世界のGDPと比較すべきとの考え方です。

なお、米国企業の時価総額上位5社は、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトフェイスブックで、この5社だけで25%ぐらいのシェアを占めています。

しかし、アマゾン、グーグル、フェイスブックは事実上、中国市場から締め出されています。今後もそうした自国主義が強まる可能性も考える必要があります。


2つ目の可能性は、経済が成熟化したアメリカは寡占化が進んでおり、また寡占企業の多くが上場しているのに対し、新興国では中小企業が多く上場も進んでいないため、上場企業が経済に占めるシェアが低い可能性です。

しかし、最近急成長している新興国では、外国からの技術導入した一部企業が経済を牽引する傾向があり、その可能性は低いように感じます。

3つ目の可能性は、アメリカでは資本主義が徹底しており、付加価値(=GDP)のうち労働者へ配分される分が少ないため企業に留保される利益が大きくなり、付加価値(=GDP)に対する企業価値が大きくなることです。

※ GDP ≒ 最終消費支出 + 総資本形成 + 純輸出 
      ≒ 雇用者報酬(賃金) + 営業余剰(企業利益) + 固定資本減耗(減価償却

しかし、好景気が続き労働市場がひっ迫すれば、通常は国際裁定が働きます。直感的にも、アメリカの労働者より中国の労働者の方が厳しい環境におかれているように見えます。

このほかにも、アメリカ企業(経済)は競争力が高いとか成長性が高いといった理屈をつける人も多いと思います。しかし、アメリカのGDP成長率はかなり低くなっており、海外で大きな利益を上げない限り、この理屈は成立しません。(海外で大きな利益を上げる場合は、私が挙げた1番目の要因になります)

世界中の中央銀行が金融引き締め方向に舵を切り金融市場が不安定化する中、アメリカの株式市場が牽引する形で金融市場を支えている構図となっています。そのアメリカの株式市場が過去の基準で説明しにくい水準まで上昇していることを考えると、相場の先行きには慎重に考えるべき時期にあると考えています。