ndtm50の日記

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日銀「総括的検証」にみる経済分析能力の不足と物価上昇しない真の原因

先月9/21(水)に日本銀行は金融緩和の「総括的検証」を発表しました。

この中で、インフレ率2%が実現していないのは、以下の要因によって実際の物価上昇率が低下したことが原因と説明しています。

①2014年夏以降の原油価格の下落と消費税率の引き上げ後の需要の弱さ、
②2015年夏以降の新興国経済の減速とそれを受けた世界的な金融市場の不安定化

一見もっともな説明ですが、よく見てください。

これは過去数年間の金融政策の検証ではなく、2013年4月の大胆な金融緩和の結果の検証です。

2014年4月の消費税率上げで消費が停滞する中、円安傾向を受けた輸出や株高による資産効果が何とか経済を支えていましたが、2015年に入り後、生産活動が減少に転じていることが明らかになり、景気循環上後退期に入っている可能性が高まりました。

詳細については20015/9/27付けの記事を参照してください。

2015/9/27「支離滅裂になってきた政府・日銀の経済政策にリスクの芽」


この時点で経済が循環上の後退期に入っていたわけですからマクロ経済政策の対応(金融緩和または財政支出)をきちんととらなければ、いずれ物価低迷に波及することは自明のことでした。

経済の不調を放置しておいて、時間が経ってから政策の「総括的な検証」として上記の二つを挙げるということは、

日本銀行には景気分析能力が不足していること
②景気分析能力がないことの結果として、その間、適切な手を打たなかったこと

を示しています。(但し、景気分析能力が不足している日本銀行にはその点の認識はないものと思われます。)

適切な手を打てなかったことで円高が進み、輸出の低迷から生産活動が一層減少したことが、いまだに物価上昇率2%が実現していない真の原因なのです。

そして、政策当局にまともに検証する能力がないこと、それどころか経済統計の誤差を非難しあっていることが失われた20年間の原因と思います。