ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

長期悲観の上昇相場を踊る

現在の日銀の金融政策、特にオーバーシュート型コミットメントと長期金利の低位誘導は人類史上最強と書きました。

現在はデフレですので、物価に下押し圧力がかかっています。
そして、その下押し圧力は履歴効果(記憶効果)がありますので、経済が回復に転じても暫くの間続きます。
そのような状況下でインフレ率2%を達成するには、平常時だったらインフレ率が3~5%になる程度は過熱していないと実現できません。

さらに、オーバーシュート型ですから2%になったらすぐに金融引き締めするのではなく、当分の間(最低でも半年ぐらいでしょうか?)は政策を継続するといっています。

従って、過熱状態をさらに熱し続けると約束しています。そのときには5%を超えるぐらいの過熱状態が予想されます。

インフレ率が5%になるような経済状態で、長期金利(10年債)をゼロ%近傍に維持するためには、とんでもないマネーの投入が必要となります。

日本銀行はそんなとんでもないことを約束しています。

海外の量的緩和の例をみると、ECBは今年の12月までの期間限定で量的緩和を実施しています。FRB量的緩和も同様に期間限定でした。そして、その期間が近づくとその経済状態に応じて延長するか決定するというように、将来へのコミットをできるだけ避ける枠組にしていたことが対照的です。


さて、日本銀行は本当に約束を守れるのでしょうか。

日本銀行の発表文を注意深く読むと、インフレ率が2%を安定的に超えるまでは金融緩和を継続することを約束していますが、長期金利をゼロ近辺に据え置くことを約束しているわけではありません。そのような抜け道は用意されています。

しかし、現在の金融緩和の理論的整理や導入の目的を考えれば、リスクをとる方(投資家や企業)は現在と同程度の強力な緩和継続を期待します。


ここで日本銀行がとる道は二つあります。

約束を守るか、約束を破るか、です。

前回、コミットを導入した福井総裁は約束を破る道を選択しました。
経済を安定させるために詭弁を弄し、早めに量的緩和を解除しました。

しかし、その判断をミスって時期尚早だったことや、(コミットメントが守られなかったことによる)投資家・経営者の失望をかったことで、海外投資家は日本を離れ、企業は設備投資を抑制し、失われた日本経済はさらに10年延長されました。


今度デフレが払拭されたときに、黒田総裁(または次期日銀総裁)が約束を守ったら何が起きるでしょうか。

すでに説明したように、経済は過熱します。

それを放置すると本当のインフレが起きます。そこで、(コミットメントの)約束期間が過ぎたら、強烈な金融引き締めが行わなければならなくなっています。

これは、経済を急激に冷やすことになります。

いずれにしても、長期悲観の冷めた目で短期楽観相場を踊る必要があると思います。