ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

為替レートに関する誤った考え方

また大機小機ネタです。

7/21(木)の大機小機で隅田川氏が『望ましいのは円安ではない』という日銀理論を書いています。

昔うわさで、隅田川氏は日銀関係のS氏と聞いたことを思い出しましたが、未だにバリバリの日銀理論信奉者がいるのにはびっくりです。

以下に簡単に内容の紹介とコメントしておきます。

(1)本コラムでは、(2012年末からの円安局面の)経験で分かったのは「円安は企業の持続的な成長基盤の強化にはつながらない」ということ、と決めつけていますが、なぜそう言いきれるのでしょうか。円安による収益を成長基盤の強化につなげた企業はたくさんあると思います。

(2)そもそも円安による企業収益増大の効果を続けるには円安が進み続けなければならないがこれは不可能なので円安の効果は本質的に短期的なものにすぎない、としていますが、例えば1ドル120円ぐらいの円安で安定していれば、企業収益は高水準で推移し、設備投資や正社員の雇用にも繋がったと考える方が合理的だと思います。

あまりにも長期の円高局面が続いたので、企業がリスクの大きい多額の設備投資や正社員雇用を行うには、2~3年の円安による企業収益では少ないということだと思います。(歴史や海外の例をみれば、長期間為替安で高水準の企業収益が続いたのに、投資を増やす企業が全く現れないということがありえないことが分かるはずなのに、隅田川氏はそのような自説に都合の悪い例は目に入らないようです)

(3)「成長戦略が効果を発揮すれば、生産性の上昇を反映して為替は円高方向に動く」としていますが、どこの経済理論でしょうか。理由なしに決め付けるのはやめて欲しいです。

生産性が上昇すれば経済は強くなるから円高になりそうですが、為替はそう単純なものではありません。

例えば、生産性が上昇してもそれ以上に需要が高まってインフレ率が高まれば、購買力平価仮説によれば通貨価値は下がります。

(4)最後に、経済の『正しい道』を説いて終わっていますが、思い込みの価値観で決め付けた『正しい』を押し付けるのはやめてもらいたいですね。