ndtm50の日記

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レーガン登場時と全く異なる経済環境に注意

トランプ次期米大統領が減税やインフラ投資の積極化を唱えていることなどから、一部にレーガン元大統領との類似を言う人がいますので、少しコメントしておきます。

まず指摘したいことは、レーガン元大統領が登場したときと現在では経済環境が全く異なることです。

レーガン元大統領(任期:1981年1月~1989年1月)の登場した1981年は、ベトナム戦争の影響や1970年代のオイルショックを受けてスタグフレーションに見舞われていたときでした。

インフレ率は1979年から1981年にかけて3年連続で消費者物価指数が2桁に達しています。

そして、1979年にFRB議長に就任したボルカー氏によって強烈な金融引き締めが行われ、景気は最悪の状況で、失業率は2桁近い水準でした。

このような状況下で行われたレーガノミクスは具体的には以下の4つと言われます。
1)個人・法人部門での大幅な減税
2)国防支出を除く連邦歳出の削減
3)政府規制の緩和
4)インフレ抑制的な金融政策(金融引き締め策の継続)

これらの結果、双子の赤字(大幅な財政収支赤字と経常収支赤字)と引き換えにインフレの抑制とその後の景気回復に成功しました。

これは、金融引き締めの結果の景気低迷とドル高がインフレ抑制につながったのち、減税と軍事支出拡大による財政効果が景気回復につながったためというのが現在のコンセンサスと思います。

さて、現在の状況をみると、レーガン大統領の登場時と間逆に近いです。

まず、経済は完全雇用に近い状態です。そして、ドル高が海外(特に中国)からの安価な輸入品の流入を招き、製造業の縮小と低インフレを起こしています。

完全雇用といいながら、製造業を中心とする技術職は減少を続け、海外からの輸入品を販売するために低賃金の小売業やサービス業だけが拡大しています。

ここに労働者の不満が集まっています。

レーガンと同じような政策、たとえば金融引き締めによるドル高を継続すれば国内産業の空洞化が一段と進みますし、減税等による景気刺激を強めれば、完全雇用状態をさらに悪化させ、インフレ圧力が無視できなくなります。

いずれにしてもレーガンと同じような政策を続けることは、良い結果を生みません。こうした事実は押させておいた方が良いと思います。