ndtm50の日記

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長期金利低迷と生保経営について考える

長期金利がマイナスになってから、生保などの機関投資家から運用ができないので長期金利を上げるべきだとの議論がだされています。

しかし、預金金利をゼロ以下にできない(しにくい)銀行とは事情が異なり、生保が低水準(マイナス)の長期金利に不満を表明するのは、お門違いの厚かましい要求と思います。

生保は、長期の負債利子率である予定利率と予定死亡率で設計された保険契約を顧客と結んでいます。予定利率は自由化されており、各生命保険会社が自由に決めることができます。

過去1990年頃には予定利率は6%ぐらいでした。それが長期金利の低下に合わせて引き下げられ、現在は1%程度に設定している会社が多くなっています。


さて、ここで長期金利が低下した場合の問題点は二つに分けることができます。

1番目は、過去に約束した予定利率を長期金利が下回っている点です。

これはハッキリ言って生命保険会社の努力不足です。

通常金融機関は、リスクを抑制するために負債と資産の期間を同程度になるようにコントロールします。

生命保険の場合、負債の期間が非常に長くなります。そこで、金利変動リスクを避けるには、運用資産の期間も同程度に長くして、その後金利が下がってもすでに投資済みの資産からの金利収入でカバーされるようにします。

しかし、長期の負債に対して短期の資産へ投資していると、その後金利が下がった場合に、再投資する際の金利が負債を下回ってしまうため逆ザヤが発生し赤字経営となります。そこで、逆ザヤが発生しないように負債と資産の年限が同じになるようにコントロールするのです。これをALM(Asset資産、Liability負債 Managementコントロール)といいます。


2番目の問題は、現在の予定利率が長期金利を上回っている点です。

ただし、現時点でも不動産や株式など利回りが2~3%程度の投資対象は多数存在しますから、平均収益率として予定利率を上回る投資ができるのであれば問題ありません。

そしてこれが難しいようであれば、予定利率を下げれば良いのです。預金金利をゼロ以下にするのが難しい銀行と異なり、死亡率も絡んで複雑に計算される生保の商品は予定利率をゼロ以下にすることのハードルは銀行よりも低いと思われます。


もっとも、生保の経営上の観点からいうと、現時点では予定利率で負けていても、死亡率の低下のメリットが大きくはたらいているとも言われています。

従って、長期金利を生保経営の観点から語るのは正しくなく、経済活性化に焦点を絞るべきと考えます。


9月にゼロ金利に対する銀行の反応について考えた記事も書いています。参考にしてください。