ndtm50の日記

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トルコリラ下落のほんとうの原因

トルコリラの下落がとまらなくなり、世界的に金融市場へ悪影響を与えています。
何しろ、今年だけでトルコリラは40%以上下落しているのですから、大変な下落率です。

アメリカとの政治的な対立が通貨下落の要因とされていますが、新聞報道で「実体経済は良好」とされているので、そろそろ下げ止まると考えている人もいると思います。

しかし、新聞報道は誤りで、通貨下落がとまらないのは実体経済がひどい状況だということを認識すべきと思います。

日本では、30年間にわたる経済低迷の経験から、日本経済がひどい状況にあるとコメントすると大抵の場合、納得してもらえます。

そのため、日本の状態が悪い状態で、それと逆の状態が良い状態とされることが多くなっています。これが多くの誤解を生んでいます。

つまり、成長率が加速せずインフレ率が上がらない日本は構造的な問題があって、成長率もインフレ率も高いトルコ経済は、力強く良好な状態とされているのが、今回のトルコの「実体経済は良好で安定」とのコメントが多い理由と思います。

しかし、アジア通貨危機など金融恐慌の前は、必ず成長率・インフレ率・(+経常収支赤字)が加速します。

現在のトルコはこれに近い状態にあります。

経済が健全な状況であれば、政治対立等によって通貨が大幅に低下すると、輸出が価格面で極めて有利となり、輸出が増加します。他方、輸入は抑制されます。

そのため経常収支が黒字化(黒字拡大)し、通貨下落にブレーキがかかります。

しかし、トルコでは長期にわたって通貨が下落しているにも関わらず経常収支が悪化しています。これは、産業競争力が劣っていることを意味しています。

トルコリラが長期にわたって下落を続ける真の要因はここにあります。アメリカとの政治対立はきっかけになっているにすぎません。

従って、大幅な金利を引き上げによる内需抑制→輸入減少による経常収支の改善・インフレ率の低下が実施され、経済の健全化が図られるまで、トルコの問題が改善されることはないと思います。

日本株も安易に押し目を拾うのは危険です。