金融引き締めへの第1歩が始まった
2018年7月31日の金融政策決定会合で金融政策の運営方針が変更されました。
ポイントは、以下の2点です。
② 長期金利振れ幅を2倍に拡大
すでに新聞等でいろいろコメントされていますが、きちんと見れば、金融緩和の度合いが緩められており、金融引き締めへの第1歩といえます。
しかし、2016年に決定された今までの枠組みには、「オーバーシュート型コミットメント」というのが入っています。
これは、「2%の物価上昇が安定的に持続するために必要な時点まで現在の金融緩和を続ける」と日銀が約束しているものです。
現在の物価上昇率(1%未満)を考えると、今までの方が金融緩和継続への意思が強くみえます。少なくとも金融緩和継続への決意が強くなったようにはみえません。
実際、2016年の現行の枠組になった以降でも。ほとんどの期間で長期金利は0%~0.1%のレンジで推移してきました。
つまり、公式には「ゼロ%程度」の許容範囲を0.2%に拡大ということは、
「-0.1%~0.1%」→「-0.2%~0.2%」の変更【中心値は0%で変更なし】であり、
金利水準の上げを想定していないと強弁可能になっていますが、
実際には
「0%~0.1%」→「0%~0.2%」の変更【中心値0.05%→0.1%】であり、
明らかな金利水準の切り上げを意味することになります。
さて、今回の政策変更で重要な点が2点あると思っています。
1点目はこれまで説明してきたように金融緩和の修正(金融引き締めの第1歩)であるということです。
そして、2点目は、また嘘つきの日銀に戻ったということです。
安倍・黒田体制になって、詭弁が減り、良くも悪くも物価を基準にしたシンプルな政策だったものが、それ以前の詭弁だらけ、理屈は後からつければよいという体質の日銀に戻った可能性があります。
そうなった理由として、①安倍首相の3選がほぼ確定し、支持率維持のために株価最優先の政策をとらなくてもよくなったこと、②黒田総裁が再選された(再再選は絶対にない)ので、政府の意向を最優先しなくてよくなったことが考えられます。
つまり、2013年から続いていた政府優位(支持率に大きな影響を与える株価最優先)の構図が変わり、日銀優位(インフレ防止に偏った政策運営)の構図に戻った可能性があります。過去30年は、このタイミングで常にデフレ、株価下落が発生しました。
オリンピックまで2年を切りましたし、政策動向には要注意しておいた方が良い時期に入ってきたと思います。