ndtm50の日記

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戦争に勝って競争に負けるアメリカ

アメリカによる対中制裁関税と中国による対抗策が貿易戦争と言われています。
この表現が正しいかどうかを別にして、このやり取りは、圧倒的にアメリカが有利です。

中国からアメリカへの輸出額が圧倒的に大きいということは、関税を課すのは簡単です。目的もそれを減らすことですから、深く考えずに課税範囲、税率を上げていけばいいのです。

しかし、この貿易戦争に勝つかどうかということと、経済競争に勝つかどうかということは別問題です。

すでに製造業の集積度において、中国はアメリカをしのぐ状況になっています。購買力平価ベースでのGDPで世界一位は中国です。

研究開発を行うのは机上ではありません。ノートとペンだけでは開発はできないのです。実験や製品化のトライアンドエラーを繰り返すことが必要です。つまり、研究開発でもアメリカはすぐに中国に抜かれると思います。

人口規模に加えて、製造業の厚み、GDPの規模ですでに世界一位になっているという事実から、中国が経済政策で大きな失敗をしない限り、アメリカが現在の競争力を保つのは難しいと思います。

貿易戦争は、行き過ぎた製造業の空洞化を緩和して、下層にいるアメリカ国民に恩恵をもたらすものの、企業に競争力をもたらすものではありません。

貿易戦争に勝っても、アメリカ産業の競争力は上がらないと思います。

そうした現実をより冷静に見ているのは、地理的に離れている欧州です。

アメリカは欧州のNATO加盟国に軍事コスト負担の引き上げを求めていますが、そのうち、アメリカは南北アメリカ大陸以外のエリアから撤退せざるをえなくなると思います。

中国と地理的に近い日本は、そうした歴史的な流れを読んで動く必要があります。