戦争に勝って競争に負けるアメリカ
アメリカによる対中制裁関税と中国による対抗策が貿易戦争と言われています。
この表現が正しいかどうかを別にして、このやり取りは、圧倒的にアメリカが有利です。
中国からアメリカへの輸出額が圧倒的に大きいということは、関税を課すのは簡単です。目的もそれを減らすことですから、深く考えずに課税範囲、税率を上げていけばいいのです。
しかし、この貿易戦争に勝つかどうかということと、経済競争に勝つかどうかということは別問題です。
研究開発を行うのは机上ではありません。ノートとペンだけでは開発はできないのです。実験や製品化のトライアンドエラーを繰り返すことが必要です。つまり、研究開発でもアメリカはすぐに中国に抜かれると思います。
貿易戦争は、行き過ぎた製造業の空洞化を緩和して、下層にいるアメリカ国民に恩恵をもたらすものの、企業に競争力をもたらすものではありません。
貿易戦争に勝っても、アメリカ産業の競争力は上がらないと思います。
そうした現実をより冷静に見ているのは、地理的に離れている欧州です。
中国と地理的に近い日本は、そうした歴史的な流れを読んで動く必要があります。