仮想通貨相場と金融市場への影響
最近、仮想通貨(ビットコイン)のチャートを見る回数が多くなりました。
すでにピークからは大きく下がっていますが、それでも仮想通貨全体の時価総額が50兆円ぐらいあり、変動率が他の金融資産と比較にならないぐらい大きいので、ビットコイン相場が金融市場全体へ与える影響は無視できなくなっていると考えているためです。
個人的には、ビットコインはインチキ商品で、人類史上最大のバブルという見方をとっています。
理由は、仮想通貨はキャッシュフローを生まないため、金融理論から言えば価値がないからです。
仮想通貨が価値を持っていように言われる根拠は、データが消滅しない仕組みで保存されていること、取引所等を通じて(法定通貨への)換金手段があることです。
しかし、両替可能だから、価値がないものでも高い価格をつけるというのは”バブル”以外の何物でもないと思います。
まず、”仮想通貨”という言葉に騙されて”通貨”と勘違いしてしまいますが、保護されたデータに過ぎないことを認識した方がよいと思います。
モノやサービスの交換に用いることを”目標”として作られたデータのため、仮想通貨と呼んでいるのでしょうが、通貨としての信用を得るためにはそのものに価値がなければなりません。
法定通貨は政府が価値を保証しているため、事実上、金融資産(政府〔または中央銀行〕の負債)と考えることが可能です。金などの金属には、そのものに利用価値があります。それらの信用を背景に備蓄や交換手段として使われるのが通貨です。
しかし、仮想通貨は、1)データの保管が保証されている、2)取引所での両替や一部の店舗で買い物ができるという特徴があるものの、これらはデータそのものに価値を与えているものではないことに注意が必要です。
本来は、価値があるものの中で、保存性があり、持ち運びが便利なものが支払い手段は貯蓄手段としてプレミアムが付与されて通貨として流通しているのです。昔は穀物や家畜も使われていましたが、保存性が低いため金銀銅といった金属に代わり、最近では政府保証をつけた紙が主流になっています。、
繰り返しますが、仮想通貨はキャッシュフローがないので、金融理論に従えば価値ゼロになります。
Σ(cashflow/(1+r)^n
日本政府がフィンテック振興の一環として仮想通貨を肯定的に扱ったことがバブルを助長したわけで、罪深いと思いますが、価値がなく、際限なく生み出されるものが永続的に高い価格を維持したことは歴史上ありません。
ここにきて、(日本政府を除いて)漸く仮想通貨の規制が厳しくなり始めています。ビットコイン相場は極めて危険な状況にあると思います。
さて、問題はその規模が無視できないほど膨らんでいるということです。
1月は大きく上昇した直後の下げなので含み益が減った程度の人が多いことからそれほど大きな影響は与えてこなかったと思いますが、更なる下げは、簿価を下回る人が多くなってくることが予想され、他の金融市場への影響を注視する必要があると思います。