ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

日本企業のもう一つのリスク

昨日、中国の経済規模がすでにアメリカを15%超も上回っているという話をしました。

そして、経済成長率が中国の方が大幅に高いことを考えると、アメリカが再び逆転する可能性は極めて低くなった思います。

また、(最近の北朝鮮情勢でもわかるように)核の抑止力は強力で、今後核保有国同士で戦争が起こる(起こす)可能性はかなり低くなっており、せいぜい地域紛争程度にとどまることがはっきりしてきました。

核戦争などでの早期終結がない前提で考えると、今後、アジア地域で紛争が起きた場合、経済力で勝る中国にアメリカが軍事行動で勝てる可能性は極めて低くなっていると思います。そして、中国の工場で生産される商品がアメリカでの豊かな生活を支えていることも併せて考えると、アメリカは極力中国との衝突を避けることになると思います。(現在北朝鮮との軍事衝突すら避けていますし、中国との直接対決は経済的な衝突すら避けています)

一方の中国は、アメリカの弱腰を読み切って、アジア地域では自国の主張に沿った経済行動(境界線での油田開発など)や軍事行動(岩を埋め立てて軍事用の施設などを建設)を今後も進めてくると思います。

つまり、日本はアメリカに頼って中国に対抗しようとしても無駄だということです。

明治時代以降の歴史で、日本は(海洋国家である)英米と手を結んだときは外交がうまくいき、英米との関係が崩れたときは外交に失敗して太平洋戦争に追い込まれたため、今後もアメリカとの関係を第一に考えるべきとの意見が主流です。

しかし、小国の外交の基本は勝ち馬に乗ることです。英米と手を組んだときにうまくいったのは、その時代の覇権国家が明治期はイギリスで、大正以降はアメリカだっただけだと思います。

特に、第二次世界大戦時にはアメリカの工業生産が世界の40%近かったといいますから、断トツの経済大国だったわけです。そのような国にヨーロッパの新興国(ドイツ)とアジアの小国(日本)が挑んだのですから、外交的にも経済的にも軍事的にも勝ち目はなかったわけです。ただひたすら言うことを聞いておとなしくしておくのが国益だったと思います。

将来を展望すると、今後20年ぐらいで中国の覇権が鮮明になってくると思います。特にアジアではインド以外に対抗できる勢力はなくなるのではないでしょうか。欧米が中国に対抗する唯一の手段は、インドと中国を敵対させてお互いに消耗させることですが、最近の動きをみるともはやそのような力も残っていないようにみえます。

さて、中国に対して、今なら日本を高く売ることも可能です。例えば、AIIBへの参加や一帯一路構想へ全面協力する代わりに日中の中間線近辺で中国が開発をすすめるガス油田を共同プロジェクトにするなどの交渉が可能だと思います。

逆に、いつまでもアメリカに気を使って中国に対して半身で付き合っていると、中国の国内事情次第で日本企業の中国での経済活動が大きく制約を受ける可能性があります。寡占化が進む世界経済において、大きなシェアを占める中国市場で自由に活動できない日本企業は競争上大きな不利益を被る可能性があります。

それにも関わらず、日本政府は対中国政策(及び対米政策)を大きく転換する考えはないようにみえます。

少子高齢化を背景とした日本経済の成熟化とともに、こうした国際情勢の変化に取り残される可能性が高いことも投資家として日本へのリスク配分を見直し、海外の成長エリアへの配分を高めるべきと考える理由です。