ndtm50の日記

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日本の高度経済成長の要因と政府の役割についてあらためて考えてみた

少し前に日本の高度経済成長についてあらためて調べてみました。

日本の経済政策はずっと酷い状態が続いているのに、昔はすばらしい経済政策が実行され高度経済成長が実現したなんてことがあるのだろうか、もしあるとしたらどうして変わってしまったのか、という問題意識です。


いろいろ調べた上でたどり着いたのが高橋亀吉先生の著作「戦後日本経済躍進の根本要因」です。

高橋先生の本はずいぶん読みましたが、最近の本と比べるとものすごく理屈っぽくて一般受けしそうにありませんが、細かい点まで網羅してロジックを貫いているので読み応えがあります。


さて本題の日本の高度経済成長の要因ですが、高橋先生は以下のように指摘しています。

・外国人の着眼点では、日本特有の日本人の国民性(勤勉・高い教育水準など)、豊富な労働力や特殊的経済組織等が強調されることが多いが、これらは既に戦前から永く日本に存在していたもので、それにも関わらず戦前は軽工業の発達にとどまっていたことから、これらを日本の高度経済成長の根本要因と考えるのは誤り。

そして、高度経済成長の根本要因を以下のように分析しています。

・日本の高度経済成長は重化学工業の発展にポイントがあり、重化学の発展に寄与する戦前と変わった点に、効果的に摂取した内的要因(これは戦前からあった)が合わさって高度成長が実現できた。

・外的要因(戦前と変わった点)は、①旧植民地地域(西欧・アメリカ以外)で資源開発が進み利用が容易になったこと、②既存設備が破壊されて科学技術の進歩をもっとも効率的に摂取できたこと、③円安水準での固定レート下でアメリカが消費地となったこと、④巨額の軍事費や植民地への資金投入の負担がなくなったこと(韓国・台湾の植民地化は政治的な意味が強く、経済的には大きな重荷だった)

・内的要因(戦前からあった)は、豊富な労働力と優れた国民性、優良な港湾(船での輸送に便利)、豊富な水資源などである。

なお、政府の役割に関する高橋先生の分析を要約すると以下のとおりです。

・高度成長期を通じて、政府は計画からの乖離をもって経済状況を判断するため、常に経済は過熱状態と判断し、もっぱら日本経済の成長の足をひっぱる一方だった。



日本では、日本の優れた国民性などが強調されているように感じますが、高橋先生の分析をみてスッキリしました。

日本の高度成長期は、重化学工業が発達できる外的条件の劇的変化がおき、戦前からの日本の国内状況がたまたまそれにマッチしただけということだと思います。また、日本政府の経済政策はずっと足を引っ張っていた、ということも現在と同じです。

なお、未だに日本の国民性などを根拠に日本経済の潜在力を高く考えている人が多くいますが、高度経済成長を実現した国民性は(外国人の着眼点だったため)研究され、模倣されています。(高い教育水準、勤勉なことが重要だとの認識は世界中に広がっています)

また、外的要因も大きく変化しています。

このまま経済政策が酷いままだと、日本経済はいつまで経っても復活できません。