ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

経済原理を完全に無視しても言い方がうまければ評価されて力を持つ日本という社会

昨日は朝から日経新聞を読んでいてずっこけてしまいました。

7/8(金)付の日経新聞(マーケット総合2ページ)の大機小機の吾妻橋氏のコラムで「ほぼ完全雇用なのに所得が増えない状況にあるのは、経済成長の制約条件が需要不足よりも供給制約にあるためだ」としていました。

完全断定表現で書かれていますが、理由もロジックもなく、全く意味不明の文です。

匿名のコラムなので吾妻橋氏はどのような方か分かりませんが、日経新聞に長年コラムを連載しているぐらいだから、それなりに地位・名声のある方なのでしょう。このような大胆かつ断定表現でいままでたくさんの人をだまして生きてきたのだろうと想像できます。

敢えて詳細を言わずに断定調にして説得力を持たせようとしていますので、吾妻橋氏の主張の詳細は不明ですが、少なくとも指摘しておきたいのは、この文が経済学のもっとも基本的な原理である需要・供給と価格の関係を無視している点です。

需要が増えれば価格(賃金)は上がります。供給が増えれば価格(賃金)は下がります。

経済成長の制約条件が需要不足ではなく供給制約にあるということは、供給が少ないので成長できないことを意味しています。つまり、人が足りないので生産を増やせない状態といっているのだと思います。

その場合、人が足りない(供給が少ない)のですから労働市場では価格(賃金)が上がることになります。

つまり、吾妻橋氏は、物理でいえばニュートンの法則レベルのもっとも基本的な経済原理(需給と価格の関係)を無視して、しかもそれを気づかせないような断定口調で表現し、それをもとにして自説を展開しているのです。

国内外の最新トピックスなどに対し、その背景を掘り下げて解説したり、 独自の主張や提言を打ち出すコラム」
で「匿名ならではの大胆な発言が魅力」(『日経のわかりやすい読み方』より)とはいえども、いくらなんでも酷すぎです。

あまりにも酷いと思ったのでネットで少し検索してみたらあちこちで批判を受けていました。昔からロジックを無視した自説を説く人らしいです。こういう人にだまされないように注意しましょう。
(短期的には騙される大勢に従っていたほうがうまくいきますが、長期的な成功には、このようなとんでも理論に騙されないことが大切だと思います。)