潜在成長率はインチキです
最近、新聞でいくつか潜在成長率に関する記事を見かけたのでコメントしておこうと思います。
よく分からないという方は、インチキな指標ということだけ認識してください。
概念としては重要な概念です。便利なので、私もときどき使って話をします。でも、現在の経済学の知識では実際に算出することが不可能な指標です。
潜在成長率は供給能力の増加率なので、潜在成長率を算出する場合にはまず供給能力を計算します。
経済学の教科書では、供給能力は生産関数という関数を用いて計算できるとかかれています。
これが曲者です。生産関数がはっきりいってインチキな関数なのです。
生産関数の考え方は、経済活動には人が機械を使って行うので、供給能力は人(労働時間)と機械化率をかけ、さらにそれにいろいろな要素からなる生産性をかけて作られています。
概念としてはもっともです。
しかし、いろいろな要素からなる生産性って何でしょうか。いろいろなが複雑に影響しているので、よく分かっていません。
それを研究者は分かったふりをしてパラメーターとして算出するのですからインチキというのです。
ちなみに日本銀行は潜在成長率が大好きです。そして、いろいろ問題があるのは分かってますよ、といえるように『(潜在成長率の)推計値は、推計手法によってかなり異なる値をとりうるほか、様々な推計誤差が含まれるため、十分な幅を持って評価する必要があります。』と注釈をつけます。
でも潜在成長率を使って説明するときには、そんな幅は無視して語ります。
次回は、どうしてインチキなのか、もう少し詳しく説明したいと思います。