ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

アメリカの立場で日米同盟を考える

前回のブログでアメリカが近い将来に防衛ラインをハワイ・グアム・豪州へ下げることを予想しましたが、その理由を補足しておこうと思います。

まず、一般論として海外に軍隊を駐留させる主な目的は以下のとおりです。

1)植民地経営による直接的な利益を得ること
2)将来戦争状態に入ることが予想される国との対立において、軍事行動のための重要な拠点を確保すること
3)地域の安全や法支配を確保して、企業活動などによる経済的な利益に資すること
4)その地域にいる自国民の安全を確保すること
5)国連などの国際機関において発言力を確保するため、国際協力軍などに軍隊を派遣すること


第一次世界大戦の前ぐらいまでは、1と2が主な理由でした。しかし、20世紀に入ったぐらいから、植民地経営で直接的な利益を確保するのが難しくなってきました。日本の戦前も満州、朝鮮、台湾の支配は経済的には大幅なマイナスで国家財政のお荷物だったと言われています。(日本の高度成長の主な要因の一つに植民地支配のための費用負担がなくなったことが挙げられるぐらいです。)

そして、第二次世界大戦の後、朝鮮戦争ベトナム戦争、冷戦と東西対立が続き、アメリカにとっては西側陣営を拡大するために2と3が海外に米軍を駐留させる主な目的になりました。

特に日本は極東においてロシア・中国という東側陣営の主要国を囲む形で存在していますので、軍事的な意義も大きかったと思います。中曽根首相(当時)が「日本を太平洋における不沈空母にする」と発言して問題になったこともありました。


しかし、核弾頭を積んだミサイルが大量に配備されるようになって、必ずしも敵国近くに軍事拠点を設ける必要はなくなってきています。

さらに1989年に冷戦が終結してから西側陣営を拡大するためのアジア太平洋地域の安定を確保する必要性も薄れてきています。

1990年代半ばのクリントン政権あたりから明確に日本が軽視されるようになってきたのは、冷戦終結以降、アメリカにとって日米同盟による利益が見出しにくくなっていることが大きいと思います。

それにも関わらず、現在まで日米同盟が継続できているのは、アメリカで軍事産業が大きな政治力を持っており、アジア太平洋地域から手を引くことによって軍事産業が打撃を被ることがないように、日米同盟の意義を強調していることが大きいと思います。
(建前として3と4の理由を挙げるか、同地域の安全が米国の利益に資するという一見もっともで、よく考えると理由になっていない理由を挙げています)

しかしながら、中国という準覇権国家が太平洋地域を支配し、平和が確保できている限り、アメリカにとって大きな不都合がないはずであり、冷静に考えれば、なんでアジア太平洋地域の安定のためにアメリカが多額の費用負担しているのだ?というトランプ氏の問題提起は完全に的を得ています。