ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

現在の中国経済を取り巻く状況と日本バブル崩壊時の類似について

中国株が上値が重くなってきました。
そこで、先行きを考えるために、今回は日本のバブル崩壊時と比較してみました。

                        日本                          中国

社会的背景  資産価格の上昇で、恩恵を受けた人(株・     経済拡大の恩恵を受けた都市住民と地方から
         不動産)保有していた人と、そうでない人の    の出稼ぎ農民の格差拡大が社会問題化。
         格差が拡大し、恩恵を受けなかった多数派の
         人たちにとっては、平均年収に対する住宅価格
         の高騰でマイホームを持てないことが問題化した。

政治      リクルート問題、東京佐川問題に象徴される    前政権からの政治家の不正蓄財が問題化。
         政治資金の問題から発展し、政治構造改革が  特に現政権は、基盤固めのために粛清を行い、
         最大の政治テーマとなっていた。          大物政治家、政府高官を次々と摘発中。

経済      バブルの清算・経済構造改革が最大のテーマ    経済のニューノーマル化に向けて、
         無駄な開発の清算・非効率な産業の淘汰が     非効率・過剰な設備の廃棄・整理が必要と
         必要とされた。                       され、構造問題がクローズアップ。

経済政策   構造問題優先との認識のもと、             先行き楽観論が支配的で、
         金融緩和は不十分。                   不十分な金融緩和                
         財政面は景気対策と地元重視の政治家の
         思惑が一致して、地方へのバラマキが
         エスカレートし、財政赤字が拡大。

その他     PKO(プライス・キーピング・オペレーション、年金等    司法当局まで巻き込んだ対策により
         の公的資金による株式買い支え)による      株価維持に注力中。
         株価対策を実施するも失敗。
         戦後の政治家から2世政治家への世代交代。  現国家主席は、初めてのニ世政治家。



このように見ていくと現在の中国と日本では、かなり似ている部分が多いです。

中でも最大の注目点は、政治家(国民)の興味が経済に向いていないことです。


1990年頃の日本は、ジャパン・アス・ナンバーワンなんて言われていていました。20年間も経済低迷して、衰退するなんてだれも考えていませんでした。

日本経済が発展していくことには疑いはなく、政治家や、やくざまがいの地上げ屋や、親から土地を引き継いだボンボンなどが、バブルで大儲けして自分より得しているのは許せないという社会風潮が高まっており、それを背景に政治家は、政治体制に問題があり、これを解決すれば全てがうまくいくかの主張を行い支持を集めました。これが政治構造改革です。

経済がバブル崩壊で大変なことになっているのに、適切な対応をせず、政治構造改革への取り組み姿勢で権力闘争を行っていたということです。

それを受けて日本銀行も、バブルが崩壊したのは構造問題が原因で構造問題に対処するためにはバブル退治が必要とし、金融緩和の強化に抵抗しました。当時の日銀総裁は平成の鬼平なんて呼ばれていました。


現在の中国も、経済が変調をきたしているのに、対応しているのは株価対策(株式買取、不正取引の取り締まり、売買停止など)で、肝心の経済への対応はほとんど行っていません。

7月に目立ったのは、むしろ政治家・政府高官の党籍剥奪や摘発の動きでした。これは、政治家トップの興味が経済ではなく、権力闘争に向いている可能性が高いことを示唆していると思います。

先日のブログにも書きましたが、経済成長が鈍化してインフレ率が下がると、それだけで実質金利が上昇し、金融面からのブレーキがかかります。そのような状況での小幅の利下げはブレーキをかけないためにも必要です。

さらに、経済活動が鈍化しているということは、アクセルが必要ということですから、相応の対応が必要となります。現在の中国でそのような政策対応はほとんどされていません。このままいくと、本当にクラッシュする可能性もゼロではないと思います。

ニューノーマルなんて言葉にだまされてはいけません。後からみて失敗の政策は、その当時はもっともらしい理由付けがされているものです。(日本の長期低迷に繋がった経済政策失敗も、バブルの清算構造改革との理屈付けがされていました。)

このように、今回の中国経済悲観論はこれまでとは全く異なるものです。
中国政府が経済対策に本格的に取り組むまでは、中国関連の投資にはかかわらないことが無難と思います。