経済政策運営のパターン その3
5/17、5/31に続いて「経済政策運営のパターン」の第三弾です。
5/17のブログで経済政策運営のパターンとして以下の4通りをあげました。
一番目を5/17、三番目を5/31に説明しました。
三番目の政策をとる国として、中国、台湾、韓国などがあげられます。
今回は二番目の政策の説明です。
二番目の国の特徴は、①過去インフレによる経済危機を経験していること、②インフレ抑制の政策の成功体験があることです。
インフレによる経済危機の経験は、主に戦争によるものです。欧州大陸諸国は、二回の世界大戦でいずれも自国領土が戦場となった結果、工場設備が大きく毀損し、強烈なインフレを経験しています。
ドイツのハイパーインフレなどは財政赤字や国債引受の研究材料となっているため、これらがインフレの原因のように言われますが、経済の基本に立ち返れば、工場などの供給能力が毀損して需給バランスが崩れたことがインフレの真の原因といえます。
これらが、①の特徴「インフレによる経済危機の経験」です。
インフレを嫌悪する土壌がある中で、第二次世界大戦後、インフレ抑制の政策が成功体験となりました。日本では、高度成長期です。
この時期は、失われた20年と言われる最近と比較すると物価上昇率の高い時期になりますが、世界的にみると、日本はインフレ抑制の政策で成功した国といえます。欧州では、ドイツが日本と同様にインフレ抑制的な政策で戦後の高成長を実現しました。
日独が高い成長を果たした時期は、戦後の設備不足、オイルショックなど世界的にインフレ率の高い時期にあたりますが、日独両国は景気が過熱しはじめると景気抑制、インフレ抑制の政策をとることで物価が安定、その結果、物価が上昇した海外と比べて価格競争力の上がった製造業が輸出で成長する好循環を招きました。これが②の特徴「インフレ抑制政策の成功体験」です。
*例えば、もともと車がアメリカも日本も100万円で売っていたとして、アメリカの物価が10%上昇、日本が5%上昇すると、為替の変動がなければアメリカの車が110万円、日本の車が105万円になり、日本の価格競争力が高まる。
こうした経験から、日本や欧州大陸諸国は、比較的インフレ抑制的な政策を採るようになりなっています。