ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

経済政策運営のパターン その2

最近仕事が忙しくて、ずいぶん時間が空いてしまいましたが、5/17に続いて「経済政策運営のパターン」の第二弾です。

前回、国ごとの経済政策運営のパターンとして以下の4通りをあげました。

1)失業率を極力低くし、完全雇用を目指す政策運営
2)物価の安定を優先させた政策運営
3)外需を活用して経済の発展を図ろうとする政策運営
4)資源が豊富な国(中東の湾岸諸国など)の経済政策

5/17のブログで一番目を説明しました。
また、この政策をとる国として、アメリカ、イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドなど、資源が豊富な先進国をあげました。

さて、今回は2番目を飛ばして、3番目の「外需を活用して経済の発展を図ろうとする政策運営」について考えてみたいと思います。

この政策パターンは以下の組み合わせで実現しています。
①為替を安い水準に誘導した上でドルに固定(ドルペッグ)
国内需要(特に消費)を抑制気味に運営して、インフレを防ぐ
③国内の投資を刺激すべく、税制・補助金ファイナンスなどの政策を組み合わせる

①の為替は、割安水準にドルペッグさせるのがポイントです。これにより、ドルベースで自国の労働コストを抑えることができます。(投資のコストは、貿易財の機械設備は、ペッグされた為替レートで調整されるので、長期的には地域格差は生まれにくい)

90年代までのドルペッグ国は、主にインフレを抑制する目的が多かったのですが、これらの国は、インフレを抑制するために割高な水準で為替を固定することになり、自国通貨を割高な水準にペッグさせるための高い実質金利(引き締め気味の金融政策運営)がデフレをうみ、経済が低迷・破綻するというのがよく見られる傾向でした。

2000年代以降(アジア通貨危機以降)のドルペッグのポイントは、外需の恩恵を受けるために割安な水準にペッグしていることがポイントです。しかし、自国通貨を割安な水準に据え置くということは、インフレ圧力がかかりますから、これを抑えるために引き締め気味の金融政策で国内需要(特に消費)を抑えます。これが二番目のポイントです。

実質金利を高めにすると自国通貨に切り上げ圧力がかかりますが、為替の介入でこれを抑えます。日本では、介入だけで為替の水準を誘導するのは不可能なんて言われて来ましたが、そんなことはありません。世界中でいくらでも前例があります。なぜなら、通貨の切り下げは、いくらでも紙(自国通貨)を刷って売ればよいからです。

自国通貨を切り上げるためには、限りある外貨準備を売らなければなりませんが、低めに誘導するために必要なのは紙(実際にはコンピューター上のデータだけで紙幣も必要ない)だけです。いくらでも無尽蔵に売ることができます。ようは、徹底力があるか、ないかの問題なのです。

介入資金が国内に還流すると、実質金利が下がって景気が過熱しインフレになる懸念がありますから、資本規制で国内への資金流入を防ぐか、オペレーションで回収します。

また、早い成長を実現するためには潜在成長率を高める必要があることから、国内需要は投資偏重となるよう、政策を総動員します(税制・補助金ファイナンス上の優遇など)。

日本では潜在成長率が生産性や労働力人口で決まるような言い方をされることもありますが、潜在成長率=労働力の増加量×設備の増加量×生産性ですから、投資偏重でも高い成長が可能です。(日本でも投資を増やすことができれば、1%以下と言われている潜在成長率を3~5%に挙げることは可能)

こうした政策を採る国の筆頭は中国です。中国企業の成長について、いろいろ言われていますが、国として上記の政策を採り、膨大な投資を行っていることが中国企業成長の最大の要因であり、中国経済が高い成長率を維持している要因です。中国以外にも、韓国、台湾、アジア通貨危機で経済が破綻したアジア諸国などが、このような経済金融政策を行っています。

なお、このような政策が有効性を持つ最大の理由が、アメリカが一番目の考え方を採用し、世界経済のデフレ圧力を防いでくれているからです。

その結果、アメリカへ安価な製品が流入しており、アメリカの生活者は借金で高い生活レベルを維持することができています。