ndtm50の日記

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成長戦略として投資ビザを創設すべき

5/22(金)の日本経済新聞 経済教室の、エズラ・ヴォーゲル『国会戦略の立案力向上を』という記事の冒頭で以下の内容があった。

「自分の国はうまくいっているかと日本人に尋ねると、大抵の人は否定的な反応をし、同じ質問を中国人留学生にすると多くは肯定的である。ところが、将来どこに住みたいかを聞くと、日本人はほとんどが日本に住むと答えるが、中国人留学生の多くは自分の子供も含め外国に住むつもりだと答える。」

「日本は、町は安全できれいだし、犯罪率は低い。公害は抑制され、生活は快適で安定していることが、日本人の多くが将来も日本に住みたいと答える理由であろう。」



また、同日の記事で、「中古マンション価格上昇」という記事があり、以下の内容が書かれていた。

「海外からの投資資金が都心部など好立地の新築マンションに流入していることを主因に都心部の価格が上昇している。他方、都心の価格上昇が郊外には波及しておらず、二極化が進んでいる」

つまり、日本の都心部で外国人がマンションを買い求める一方、日本人が主に住む郊外の住宅の需要は停滞しているということである。


さらに、過去数ヶ月の新聞を眺めてみると、訪日外国人の買い物に関する記事が2~3日に1回ぐらいのペースで掲載されており、その規模の大きさや注目度を改めて認識させられる。



こうしたことを踏まえると、海外の人たち(特に富裕層)にとっての日本の魅力とは、物価・住宅価格が安くて治安がよく、暮らしやすいということであろう。しかし、人口の高齢化や財政赤字等の問題から潜在成長率が低く、ビジネスをやる対象とはみられていないようである。今週の日経新聞に、「対日投資は円安で増加しているが、そのペースは鈍く、政府目標には届きそうにない」という記事もあった。


こうした特長(魅力)を考えれば、今後の日本の(国際社会での)生き残り方として富裕層の生活の場所を提供するということを積極的に考えてもよいのではないだろうか。

海外(アメリカなど)では、物価が割安で生活しやすい町に、早期リタイアした金持ちが移住するというニーズが存在する。退職後に住みやすい街ランキングというサイトがインターネット上で多数存在することがそれを裏付けている。それらのランキングでは、物価や治安、病院も含めた公的サービスの充実などをポイントに街を順位つけている。そうした住みやすい街の判断基準となるポイントは、そのまま(円高が是正された現在の)日本にとっての特長といえるのではないであろうか。

こうした強みを生かすには、1億円程度の国内投資(証券投資、不動産投資でよい)を条件にビザを発行する投資ビザを積極的に推進すればよい。富裕層が観光だけではなくて、日本に移住して日常生活を送るようになれば、その消費規模は現在の訪日観光客のレベルではない。また、消費税、住民税も取ることができるので、財政収支上もプラスである。外国人の移住が増えれば日本の治安が悪化することを懸念する人もいるが、海外で財産を築いた人であれば、大抵の人はそれなりの教育を受けた人であるし、犯罪等を起こした場合にビザが更新されないとなれば、犯罪抑止にもなる。(暮らしやすい日本での生活を目的に億単位の資金を投じる人が対象のため)

さらに、日本へ移住する外国人の中には、当然高いスキルを持っている人もいることから、日本で生活するうちに新しいビジネスのネタをみつけ、企業投資(起業)で日本の潜在成長率向上に貢献してくれる人も出てくるのではないだろうか。

これは、現在日本政府が必死になって推進しようとしている成長戦略になると思われる。政府の役人が必死になって将来有望なビジネスをみつけて成長戦略なる計画を立てたところで、絵に描いたモチである。役人が考えつく将来有望なビジネスなど、すでにどこかの企業や国家が取り組んでいるものが中心であり、成長戦略などといえるレベルのものが日本の役人から生まれたためしがない。

経済上の戦略というものは、己を知り、競争相手を知り、その上で自らの得意なことを伸ばしていくことが重要である。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」(孫子

なお、現在の日本の状況は、「日本 投資 ビザ」でネット検索してみると、
「中国の富裕層や不動産業者から、不動産投資事業の相談も増加しているが、日本の場合は不動産を購入しただけで、経営管理ビザや永住権が取得できるものでは全くありません。経営管理ビザを取得したい場合は事業性や事業規模等が関係してきます。」

となっています。政府(役人)のセンスのなさの顕れでしょう。