ndtm50の日記

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ギリシア問題の解決方法

ユーロシリーズの第三弾です。

みんなはっきり言いませんが、現在のユーロの問題を解決するのは簡単です。
過去のソブリン問題もほぼ全て同じ方法で解決してきました。
通貨の切り下げと金融緩和(輪転機)による失業率の引き下げ(生産リソースのフル稼働)です。

ギリシアの問題は財政赤字の問題と言われていますが、財政赤字なんて自国通貨建てであれば輪転機を回せばほとんど解決です。(その結果、通貨安とインフレが起きるので、その問題にも対処する必要は残る)

すべてのソブリン危機の共通点は、輪転機を回せない事情があることです。(その事情は国によって異なるがパターンは少ない)

アジア通貨危機の場合、為替をドルペッグしていた国で政府も民間も外貨(ドル)で借り入れしていたので、初期の段階では、通貨安による借入額の拡大を恐れてむしろ金融引き締めで通貨防衛をしました。
(外貨での債務は、通貨安で自国通貨換算額が膨らむため、返済が困難化すると言われていた。)

それが失業率の上昇、国内経済の縮小を通じて問題を大きくしたのです。

しかし、アジア通貨危機の時は、はじめにマレーシアがその問題に気がつき、資本取引を規制しながら通貨切り下げ・金融緩和を行い問題を解決させました。多少ストックの負債が膨らんでもフローの見入りが大きくなれば負債の制御は可能です。それをストックの悪化にびびってフローを抑えるから問題が大きくなるのです。全てのソブリン危機に共通する事象です。

ギリシアの場合も同じです。通貨をユーロ(実質ドイツの通貨)に統一してしまったから、ドイツの許しがなければ輪転機を回せない。でも、主要な生産要素である労働力を25%も遊ばせておいて負債の返済なんてできるわけありません(2015年春時点でギリシアの失業率が25%超)。借金は働いて返すものです。

ユーロを離脱した場合の金融の混乱が怖いと思いますが、そんなの預金封鎖でも何でもやって金融取引を規制しながら抑えればよいのです。ユーロを離脱した後、自国通貨建てで輪転機を思いっきり回せば、金融の混乱による実態経済への悪影響は最小限にとどめることができます。多少インフレになったとしても、実体経済が好転したことを確認してから正常化に向けて資金を回収すればよいのです。有名な第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレも、実は簡単に短期間で収束しています。

この方法(通貨切り下げと金融緩和)しか解決策がないのは、歴史が示しています。

ただ、マクロ経済的にこれが正解でも、実際に踏み切るには、まだハードルが高いかもしれません。

経済の過渡期には必ず得する人と存する人がでます。その差が大きくなったとき、多くの政治家が暗殺されています。今回のギリシアも、対応を間違えると暗殺されるリスクがあります。


さて、今後のユーロの行方を考えるために、これまで書いてきた点をもう一度整理すると、

1)ユーロは事実上ドイツの通貨である
2)ギリシアはGDP構成比2%しかなくて、本来は無視してもいいのに、投資家がギリシアの問題が大問題と錯覚し、それが相場を形成している。
3)ギリシア問題はだらだらと続くか、それともユーロ離脱による解決かのどちらかしかない。(ユーロ離脱以外に解決策がないため)
4)ドイツは実力比大幅に安いユーロで大きなメリットを得ており、ギリシア問題が解決できずユーロが現状の水準で推移すればドイツの景気拡大は続く。
5)ドイツの景気拡大が続けば、ユーロの適正水準は切りあがっていく。(ユーロはドイツの通貨だから)
6)ギリシアがユーロを離脱すれば、投資家はユーロがドイツの通貨であることに気がつき、本来の実力どおりの水準まで切りあがる可能性が高い。

こんなことを考えながら、最近はユーロを買い続けています。(他に買うものがないので、、)