ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

大きな利益を得るドイツと被害者ギリシア

再び通貨ユーロについて考えて見ます。

昨日のブログに書いたとおり、ユーロ圏は30%をドイツ経済が占めており、独仏で半分、伊西蘭で85%となります。
さらに、本日の日経新聞に「ドイツ1強」「存在感の薄れる仏」と出ているとおり、ドイツの政治力が抜きん出て、ユーロ圏はドイツの意向に振り回される傾向が強まっています。

もっともユーロという通貨自体、ドイツの周辺国がドイツと通貨を統合して為替リスクがなくなれば投資を呼び込めて経済発展できるはず、という甘い考えで成り立ってきたものですから、ドイツの発言力が強くなって当然という面はあります。

さて、そろそろ本題ですが、2010年のユーロ危機以降、主要な論調として、放漫財政のギリシアがGDP比で過大な財政赤字を抱えており、ドイツを中心とする主要国がそれを支えている、ドイツの国民は自分達が働いて得た資金が放漫財政の救済に当てられるのは許し難いがユーロ維持のために我慢している、となっており、悪いギリシアをドイツが支えているように聞こえます。

しかし、実際の経済状況をみると全く違った現実が見えてきます。第一に、ギリシア平均の失業率が25%、若年失業率が60%近い状況になっています。これは、昨日のブログに書いたように、ドイツに焦点をあわせた金融政策が招いた結果といえます。、

つまり、国民の1/4が働けないような状況を作っておいて、借金の取立てをおこなっているようなもので、これでは借金は返せるわけがないのです。昨日のブログを読んでもらえれば、これはユーロという通貨の特性と大国のエゴ(自分達優先の政策運営を行っている)が招いた結果であることが理解できると思います。私はギリシアは通貨ユーロを維持するための被害者と思います。

他方、ドイツの経済は絶好調です。株価は昨年秋から2割ぐらい上昇しました。失業率も6%半ばと過去最低水準です。

どうしてドイツ経済は好調なのでしょうか。リーマンショック後の世界経済は全体として需要不足が続いています。最近では新興国(中国)の減速の影響も大きくなってきました。そのような中で、各国は金融緩和による実質的な通貨安競争を繰り広げてきました。通貨安による外需や企業収益のプラス効果⇒株価上昇⇒資産効果による需要拡大を狙っているのです。

ここ数年、ユーロは円とともに最弱通貨の座を競ってきました。とくに過去1年間のユーロ/ドルは25%ぐらい値を下げています。これは実質価値で考えるとユーロがドイツの通貨であるということを忘れ、多くの投資家がギリシア(GDP構成比がたったの2%)の状況に注目して悲観的になり、ユーロ売りを行った結果と考えられます。

つまり、尻尾の先ほどのギリシアの悲惨な状況がユーロの水準を大幅に押し下げ、結果的に長期間続いている有利な環境で好調な経済を謳歌しているドイツの姿が浮かび上がってきます。

我々弱小投資家は、これらの事実が良いか悪いかを考える必要はない(考えるべきではない)と思います。ただ、これらの事実を踏まえて、長期的な今後の展開を予想し、短期予想とあわせてポートフォリオを作り上げていくことが重要だと考えています。

次回は、ユーロ危機の解決策と相場動向について考えたいと思います。