ndtm50の日記

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通貨ユーロについて考える

ユーロについて考えてみた。

ユーロとは、欧州19カ国の経済通貨同盟で用いられている通貨のことである。
ユーロ導入国のGDP比をみてみると、ドイツ30%弱、フランス20%強で独仏両国で半分を占める。ついで、イタリア16%、スペイン11%、オランダ6%でここまでで85%程度とGDPの大半を占める。なお、経済問題で注目されるギリシアのGDPは2%程度でしかない。

通貨ユーロの特異性は、複数の国で単一通貨を用いていることである。これが以下の二つの特徴を生んでいる。

①言語、行政制度の違いから地域間の人口移動が起こりにくい ⇒ 地域間の景気格差が発生しやすい
②経済政策(金融政策)が合議制となり、政治に左右される

まず地域間の景気格差について考えてみよう。単一国内であれば、景気の悪いところから景気の良いところへ人が移動するため、景気の格差は収束する傾向がある。例えば、北海道の景気が極端に悪く東京の景気がよければ、北海道の人が東京へ出稼ぎや就職に来て地元へ仕送りを送るので、景気の格差は収束しやすいのに対して、ユーロ圏では、景気の格差が国をまたいでいるので収束しにくい。

要は、景気の良い地域と悪い地域が発生しやすいということである。

この場合、「平均的な地域」の景気が普通の状況であれば、「景気の良い地域」の景気は少し良い状況、「景気の悪い地域」の景気は少し悪い状況となり、特に問題は発生しない。

しかし現実はそれほど甘くない。通常は片方が普通の状況となるため、「景気の良い地域」の景気が普通であれば「景気の悪い地域」は経済危機が発生することになるし、「景気の悪い地域」の景気が普通であれば「景気の良い地域」の経済は過熱してバブルが発生することになる。

つまり、バブルか経済危機かのどちらかが常に発生することになる。これが第一の特徴である。


次に政策運営についてだが、複数国の合議制で決められる以上政治に左右されざるを得ない。その場合理屈で考えても過去の実績からみてもGDPの大きい大国の意向が強く反映されることになる。(つまり、金融政策は独仏の意向に大きく左右されるということである。)

ここで2000年頃からのユーロ圏の経済と政策を振り返ると以下のとおりとなる。

2000年代半ばは、南欧が景気が良いエリアでドイツが景気の悪いエリアであったが、ドイツにあわせた金融政策がとられた結果、南欧で不動産バブルが発生した。

米国のリーマンショックをきっかけに世界的な景気低迷時に入ると、バブルの反動で南欧が景気の悪い地域、ドイツが(相対的に)景気の良い地域となった。ここでもドイツにあわせた金融政策がとられたため、南欧では経済危機が発生したのである。



次回は、通貨ユーロの特徴が、ドイツに利益を他の国に不利益を与えているかを説明し、今後のユーロ相場の展開を予想したいと思う。