ndtm50の日記

ブログ5年目に突入!

アマゾンに発展を妨げられる日本経済

25年間にもわたる失政を当然のように受け入れてきた日本では違和感があるかもしれませんが、歴史上ほとんどの経済社会で供給力が経済発展の制約となっています。

そして前回のブログに書いたように労働力のひっ迫が日本経済の発展に弊害を与える可能性が高まっています。その最大の要因がアマゾンによる通販の拡大によるものといっても過言ではないと思います。

それでは、アマゾンの何が問題なのでしょうか。

それは、本屋から出発したアマゾンはカタログ通販から出発した通販と異なり、単品買いを前提としていることです。

本屋に行って複数の本を同時に買う人はそれほど多くはないと思いますが、日常の買い物は大量の種類を同時に買います。

それまで複数の商品を同時に購入して家へ運んでいたものが、単品買いに切り替わり、一つ一つを個別に家に運べば効率が下がるのは当然と思います。

詳しく説明するために少し長いスパンで流通構造の変化をみてみたいと思います。

地元商店街での買い物
戦後からしばらくの間は地元の商店街での買い物が中心でした。卸問屋が発達し、小さな商店街は問屋から仕入れた商品を並べ、近隣の住民が歩いて買い物に来て、複数店舗を買い回りしていました。
流通段階が多岐にわたり非効率だったと言われています。

巨大なショッピングセンターでの買い物
イカーブームで自家用車の普及率が上がると、巨大なショッピングセンターが郊外に建設され、消費者は週末などに車で大量の買い物を済ませるというスタイルになりました。

巨大なショッピングセンターへの納品は大型車での一括で済むため、小さな商店街への納品に比べて流通の効率化が進み、安くて最新のものが供給されるようになりました。

コンビニチェーンの発達
駐車場を確保しにくい都心部への住宅集中や高齢化による自家用車での買い物が困難になる人が増えてくると郊外のショッピングセンターへのシフトが止まり、家の近くのコンビニでの買い物に移りました。コンビニへシフトしたもう一つの要因として、IT化などによって品揃えを売れ筋に集中できるため、小さなコンビニでも必要なものを揃えることができるようになったことが挙げられると思います。

コンビニチェーンの寡占化によって物流は効率化され、また、消費者も近くで済ませることができるようになったことから全体としての効率が推進されたと評価できると思います。

このように流通の構造変化は一貫して効率化が進む形で進んできました。しかし、足元で起きているアマゾンによる通販の拡大は、便利さのために効率化を犠牲にしている点でこれまでの流通構造の変化と大きな違いがあることに注意が必要です。

アマゾンでの買い物は、基本単品買いで、それをすべて消費者宅まで毎回配達することになります。『2,000.円以上のまとめ買いで送料無料』というサービスもありますが、アマゾンプライムに加入するとこれも無料になるため、まとめ買いを促すというよりアマゾンプライムへの加入を促進するために設けていると思われます。アマゾンプライム会員の増加と少額単品での買い物増は、配達個数の爆発的に拡大させています。配達は人手で行いますから配達員が大量に必要になります。

実際にアマゾンの配送を請け負ったヤマト運輸は大幅な減益になりました。残業未払いまで発生しています。当のアマゾンもAWSウェブサービス)以外はほとんど利益を上げることができていません。詳細な損益状況を開示していないので正確なことはわかりませんが、仕組みとしては便利さを追求して、効率性を犠牲にしているのは明らかと思います。

これまでの需要不足(労働力が余っていた)の日本経済にはうまくマッチしたサービスでしたが、それに適応させてきた日本経済はすでに雇用がひっ迫した状況にあります。雇用不足を乗り越えて経済を発展させるためには労働生産性を上げていくほかありません。特に、これから高齢化等による労働力不足が深刻化する中で、効率化を犠牲にしたサービスへの依存は大きなつけを払うことになる懸念があります。