ndtm50の日記

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経済政策運営のパターン その1

国の経済政策の是非を判断する場合、個々の政策をみるのではなくそのContextの中で判断する必要があります。

たとえば、量的緩和による中央銀行国債大量購入の是非を判断する場合、単に景気対策のために日銀が国債を購入して財政支出を増やすだけだといずれインフレの弊害が出てきますが、インフレーション・ターゲティングの枠組みの中で行うのであれば、インフレ懸念が出たところで金融引き締めを行うので問題ないと判断できます。また、このようにContextを意識することで、次の展開の予想もできるようになると思います。


今回は、金融・経済政策運営に関する私の見方を紹介しておきます。

国(政権)によって金融・経済政策の考え方が異なり、それが政策運営の違いに反映されますが、大きく分けて以下の4つに分類できると思います。
(この中に入らない政策は、経済に疎い政治かが誤った認識で政策運営している可能性が高いです)

1)失業率を極力低くし、完全雇用を目指す政策運営
2)物価の安定を優先させた政策運営
3)外需を活用して経済の発展を図ろうとする政策運営
4)資源が豊富な国(中東の湾岸諸国など)の経済政策

まず、一番目は、生きていく上で必要不可欠な仕事を増やすことを最優先する考え方です。
通常は、目先の仕事のことだけを言っているのではなく、継続的に仕事を増やすことを前提としているため物価安定の概念も含まれます。ただ、ここでは失業者を継続的に減らすために物価の安定が必要ということであって、継続的な雇用に影響を与えないのであれば物価が多少変動しても良いとの理解が根底にあります。

この考え方で政策運営を行うとことは、フローを重視する考え方に繋がります。例えば、経常収支が赤字になって対外負債が膨らんだとしても、対外負債はあまり注目されません。経常収支が為替相場金利水準を通じて経済にどのような影響を与えるかに注目します。

また、完全雇用を目指す結果、経済は過熱気味に運営されることが多くなりますが、景気過熱時にはインフレ・リスクが高まりますので、自国通貨相場を高めに誘導してインフレを抑制する傾向があります。国内景気の過熱と為替高は貿易収支を赤字化させますので、この政策をとる国は経常収支・貿易収支が赤字化する傾向があります。先ほど述べたように、雇用拡大・物価安定が継続している限り、経常収支の赤字はあまり問題視されません。

このような政策運営をする国は、アメリカを筆頭に、イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドなど、資源が豊富な先進国が多いです。(イギリスも原油が豊富に採れる資源国です)

なお、為替相場の代表的な理論である購買力平価説に従えば、景気過熱・高インフレ率・貿易収支の赤字は通貨安の要因ですが、1番目の政策運営をする国は、景気が過熱したときこそ通貨が上昇してインフレ・リスクを抑えて欲しいという願望が強く働きます。購買力平価に反して、景気過熱⇒金利高⇒通貨高という論調が強まっているのは1番目の政策運営する国が増えていることが原因と思い増す(これらの国が自国経済の利益のためにプロパガンダを行っている)。これは非常に危険な考え方なので、そのうち、これをテーマに書きたいと思っています。


2番目以降の考え方は次回に書きたいと思います。